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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
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ちょっと商業組合に寄り道なのじゃ

こんにちは。

今日もよろしくお願いします。


「へー、ロビーは冒険者協会より狭いけど豪華だね」

「それに暖かいよ」

「開けっ放しだものね、冒険者協会は」

 確かにの。しかも酒場とも直通で出入り口が開いておるし品の点では大きく負けておるのじゃ。

 ミルケさんがわらわに気付いて立ち上がるのじゃが、こちらに出て出迎えようとするのを手で制しわらわの方が窓口に向かうのじゃ。

「ベルゾよ、修道会の参議として一応顔を通しておくゆえ其方は一緒に来るが良いのじゃ」

「そうですね。参りましょう」


「いらっしゃいませ、ミチカさん。今日は大人数ですね。応接室では入り切れませんのですぐ会議室を準備いたしますね」

「こんにちはなのじゃ、ミルケさん。今日はちょっと顔を出しただけゆえ部屋の準備なぞは不要なのじゃ」

 わらわの返答にミルケさんはちょっと困ったような風なのじゃ。

「組合長からミチカさんの話は直接聞くので通すように言われているのですが……」

「ふむ、組合長と話す前に組合長には行って貰っておかねばならぬ場所があるのじゃ。この書状に書いておるゆえ組合長に渡して欲しいのじゃ」

「は、はい。分かりました」


「あ、少し待つのじゃ。『鳥籠と熊』亭に行くときにはミルケさんと他何名か連れて行くよう書き足しておくのじゃ。料理の感想は多い方が有意じゃからの」

 そう言って笑うわらわに首を傾げた後軽く書状に目を通してミルケさんも笑顔になったのじゃ。

「そうですね。心して味見いたします」

「味見と言えばなのじゃ」

 わらわは声を潜めてミルケさんに囁いたのじゃ。

「これは組合長に差し入れで、こっちの包みはミルケさんになのじゃ。当たり前なのじゃが職員全員に行き渡るほど準備できるわけもあらぬゆえミルケさんの分は秘密なのじゃ」

「は、はい! 組合長にお渡ししておきますね」

 預かったものが組合長宛であることを主張しつつミルケさんは頭を振ったのじゃ。


「で、なのじゃ。ミルケさんには面倒事を頼むことになるのじゃ」

 冒険者協会で作った書類の控えを出しつつ修道会の話をするのじゃ。まだわらわは収益を出しておるわけではないゆえ急ぐ必要はないのじゃが、冒険者協会と違って書類のフォーマットがあるかどうかも分からぬゆえ書類の控えを預けていこうかの。

「で、このベルゾが修道会の参議となるゆえよろしく頼むのじゃ。わらわの代理としてくることもあろうゆえの」

「よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

 挨拶を交わした後、ミルケさんは真剣に書類の控えを確認しておるのじゃ。仕事っぷりは頼もしいものなのじゃ。


「急ぎはせぬゆえ問題なく手続きできるかどうかを確認しておいて欲しいのじゃ」

「はい、かしこまりました。それと頼まれていた物件は幾つか候補が来てますが現状確認にあと数日頂きたいです」

「うむ、ではまた後日来るゆえよろしく頼むのじゃ」

 よし、用件は済んだのじゃ。いや魔漿石の代金を預けていくつもりじゃったのじゃ。預け入れの手続きも恙無く終えてこっそりお菓子の礼を言うミルケさんに挨拶をして撤退なのじゃ。

 待っておったジーダルたちは厳つい集団が立っているのが良くないと思われたのかソファーに案内されて茶を飲みながら待っておったのじゃ。良いご身分なのじゃ。


「待たせたのじゃ」

「おう、じゃあ行くか」

 ざっと皆立ち上がるが少しテンションが低めになっておるのじゃ。お酒が完全に抜けてしまったのかも知れぬの。

「うふふ。ベルがミチカちゃんと仲が良くてちょっと妬いてるのよ」

「ああ、ジーダルはわらわのことが大好きじゃからの」

 商業組合から出たところでセイジェさんが笑いながら言ったゆえ、わらわはそれに軽く応えたのじゃ

 それで何名かが堪えきれずぶっと吹きだし、モリエはあー、そっちか、と呟いたのじゃ。

 こっちじゃないのがどっちか気になるところなのじゃが危険ゆえスルーしておくのじゃ。


「人聞きのわりいこと言うんじゃねー!」

「わはは」

 追っかけてくるのじゃが、ボクサーは実は追っかけっこに強いのじゃ。

「追っかけてる絵面が悪いのでおやめなさい」

「くっ」

 まあむくつけき大男が可憐な美少女を追いかけておるのはちょっとばかり問題のある光景なのじゃ。

「誰が可憐な美少女だ」

「わらわなのじゃ」


「まあまあ、ジーダルの幼女趣味はおいておいてですね」

「おいっ! 誰が幼女趣味だ」

「ミチカはよく分からない感じの知識は豊富ですが、同時に子どもでも知ってそうなことをよく知りません。なので店に着くまで革製品の話とかしようかと思ってましたがジーダルに任せます」

「お、おう」

「ふむ、聞かせるのじゃ」

「お前なあ」

 ぶつぶつ言いながらもジーダルは説明を始めたのじゃ。


「まず、皮は生きていても死んだ後でもある程度魔法を弾く。俺にはよく解らねえことだが敵に魔法を徹すには相手の魔力に打ち勝って皮を貫く二段階が必要だそうだ」

 印章を魔力を通さぬ皮の袋に入れる、なぞと言ったことは知っておるのじゃ。そう言うと魔漿石や魔法具も皮袋や革の箱に入れておいた方がよいと教えられたのじゃ。収納空間に入れておると劣化せぬゆえ気にせぬのよな。ある意味困ったものなのじゃ。

「なんで皮の、できれば一枚皮の外套は必要だ。ミチカの外套はちゃんとしてるな。金属の鎧も皮で裏打ちしたり皮の鎧下を下に着込んだりする。魔鉄や魔銀のような魔鋼ならそこらの皮より魔力にも強いがな」


「ほう、魔鉄や魔銀は貴重と聞くのじゃが特性も優れておるのじゃな。はて、魔金はどうなのじゃ?」

「魔金は鎧や盾には向いてないらしいぞ。武器も魔法を使う奴じゃないとまともに使えないものになると聞いた」

「ほう、そうなのかや」

 ジーダルに任せておったベルゾなのじゃが、これには注釈を入れてきたのじゃ。

「あー、それは私が説明しますね。魔金は魔力を通しやすいんです。なので魔法具や焦点具の素材として非常に適した素材ですね」

「防ぐどころか通しやすいのじゃな」


「そうですね。そして金属としては金と同程度の柔らかさと重さなので先ず鎧として不向きです」

「ふむ、では武器にも向かぬように思うのじゃが」

「向きませんね。ただ魔力を流して魔法の効果を乗せて斬る、と言う魔法剣があるそうです。見たことはないですし、本当に使い物になるのかも解りませんがね」

「魔金を剣一本分とか、それだけで一財産どころじゃねえな」

 魔鉄の剣を誂えるのにどれだけ苦労したことか、とジーダルがぼやくのじゃが普通の剣を使っておったように思ったゆえ訊いてみたところ、魔鉄の剣と同じく魔鉄の帷子をダンジョンでボロボロにしてしまい今修理に出しておるそうなのじゃ。


お読みいただきありがとうございました。

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