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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
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ごちそうさま! なのじゃ

こんにちは。

今日もよろしくお願いします。


 と言うわけで食堂に戻り優雅にお茶を喫すまったりタイムなのじゃ。と言いたいところなのじゃがそうもいかぬのじゃ。

「ではわらわは茶を喫しながら先ずはベルゾに渡す蟹グラタンのルセットを書き出すのじゃ。押しつけて済まぬのじゃがその間に厨房の片づけを頼んでよいかの」

「うん、いいよ」

「私も手伝うわね」

 モリエとセイジェさんがすぐに応えてくれたのじゃ。


「いえ、片づけくらいこちらでやります」

「ああ、お客さまだからな。なんか大分こっちがご馳走になったが」

 熊さんとハトコさんがそう言うのじゃが、狙いは違うのじゃ。

「ふふん。モリエとセイジェさんに任せるのじゃ。二人は<洗浄>の便利さを熊さん等に見せつけてやるとよいのじゃ」

「なるほど、私やガントたちを神殿の人手として使う算段がついたので調理人匠合にも生活魔法を広めようと言うのですね」

 正解なのじゃ。流石はベルゾなのじゃ。

「ゆえに熊さん等はモリエとセイジェさんに着いて行ってどういう片づけをするか見てくるとよいのじゃ」

「訳はわからないがわかった、着いて行ってみるよ」


 四人を送り出してガシガシとルセットを書くのじゃ。忘れぬうちに牛のチーズカツの分も書いておくのじゃ。

 それと商業組合長へのお手紙を書くのじゃ。これはチーズについての要望を話すに当たって『鳥籠と熊』亭にルセットが渡っておる料理を先に食べておくようと言う要請じゃの。

 チーズに対する評価を持っておいて貰わねば話にならぬゆえなのじゃ。

 ガシガシすらすらと手早く書いておったのじゃが、流石に<洗浄>を使っての片づけは早いゆえ書き上がる前に帰ってきたのじゃ。


 熊さん等は呆然としておるのじゃ。

「<洗浄>はご家庭の主婦でも必携の生活魔法なのじゃが、毎日大量の調理器具と食器を扱う飲食店ではその比でもなく需要があると思うのじゃ」

 なにやら凄い勢いで話そうとするゆえベルゾに任せておくのじゃ。

 わらわが書き仕事を終える頃には少し落ち着いたようなのじゃ。まあ、衝撃的であろうの。

「ミチカ、伝授を行う日を決めて暫くは予約制にした方がいいでしょう。明後日ではなく明日に私がリーディンに会いに行ってその話を少し詰めておきます。紹介状を書いてください」

「わ、わかったのじゃ。予約のことや曜日が決まったら商業組合と冒険者協会で告知してもらえるようそれもあとで一筆書くのじゃ」


 うーむ、仕事が増えたのじゃ。

「あ、これは蟹グラタンのルセットなのじゃ。熊さんとどういう話になったのかは知らぬが、わらわはベルゾに渡すのじゃ。ただ、説明が欲しいところなぞは答えるゆえ訊くとよいのじゃ」

「はい、確かに」

「おう、ありがてえ」

 渡したら書き物再開なのじゃ。紹介状だけでなくベルゾを修道会の参議とする旨を書いて署名し、魔力印章で押印した羊皮紙をつけて正式に働かせる準備もするのじゃ。


「グラタンは無論蟹以外でもいけるのじゃ。ただ、器にソースとともに入れた後火を加えるゆえパスタを少し硬めの状態で入れるように他の具材も調節することじゃの。パスタは平たいものより穴あきやねじった形のものがあればその方がよいのじゃ」

「ソースが絡むようにだな」

「そうなのじゃ。平たいのを使う方がいいものもあるのじゃがまあその試行錯誤は熊さんに任せるのじゃ。商業組合長にチーズの話をしたいゆえここでグラタンを食え、と申し送っておくのじゃ。よろしく頼むの」

 熊さんとハトコさんがゲゲッという顔をしておるのじゃが、気にはせぬのじゃ。


「チーズカツは先ずは自力で頑張るのじゃろうが、悩むようならルセットを売る準備はしておくゆえ言ってくるがよいのじゃ」

 そう言って悪い笑みを浮かべるのじゃ。

「ああ、その時は頼らせて貰うよ。しかし、チーズカツはまあいいんだが、ぐらたんはなにか言いにくいな。冒険者言葉と一緒で言ってるうちに馴染みそうではあるんだが」

「名前は好きにして構わぬのじゃが、その場合の命名権もベルゾにあると思うのじゃ」


「では修道会風チーズ焼き、でどうです? これは蟹の修道会風チーズ焼きですね。ぐらたんとも呼ぶ、と言っておけばそのうちそっちが定着するかも知れませんが取り敢えず修道会の宣伝にもなりますし」

 ベルゾがドヤ顔で言うのじゃ。しかし、修道会を宣伝するのかや。いまいちピンと来ぬのじゃ。

「ミチカも修道会の運営ばかりやっておく気がないので急いで人手を集めてるのですよね。私も手伝いますが冒険に出ると暫く居ないということがよくあります。ですので取り敢えずの目標は専属の事務職員を雇って書類に署名と押印をしていれば組織が回るようになることです」

「うむ、そうじゃの」


「なのでぐらたんの権利は修道会持ちでベアルたちとはレシピを外に出さない約束で契約しました。修道会の収入ですので後で責任者の署名と印をお願いします」

 修道会を早く軌道に乗せておくための一歩というわけなのじゃの。しかし、のう。

「其方自身の得があらぬように見えるのじゃ」

 あとどうでもいいのじゃが、ルセットがレシピになっておるのは翻訳機能の微妙な不具合のようなのじゃ。

「ここで食べれるだけでも充分な得ですがね。修道会が大きくなってくれないと私の手間が掛かり続けるのが不利益です。逆に大きくなればその不利益を減らせます。責任は大きくなるかも知れませんが参議として得られる利益も大きくなるので相殺ですね」


「なるほどなのじゃ。修道会がそれ自身で進むようになればわらわも楽になるゆえ否やないのじゃ。チーズカツのルセットも修道会扱いで其方に預けておくかの」

「そうですね。立ち上げの回転資金と言うことで預かっておきましょう。但し、修道会の本業で成り立つようにしなければ意味はないですからね」

「難しいものなのじゃ」

 ちと有能すぎるのじゃが、まあ最悪なんでもベルゾ任せに、いやいかんのじゃ。ジーダルが適当すぎるのはベルゾが有能すぎるのが原因になっておる部分も大きいはずなのじゃ。


「おう、兎に角ぐらたんは修道会風チーズ焼きでいいんだな。じゃあ今日は色々ありがとよ」

 熊さんはなにやらそわそわしておるのじゃ。その熊さんをハトコさんがぎゅっと締めておるのじゃ。

「早速試作したくてそわそわしてるけど、夕方からは普通の営業があるんだからね。わかってるんでしょうね」

 なるほどなのじゃ。クスクス笑うわらわたちにハトコさんは苦笑を返すのじゃ。

「お菓子のことなんかも話したいけどそこまでは手が回らないわ。本当に今日はありがとうね。いつでもお店に来てちょうだい、歓迎するわ」

「こちらこそ美味しい食事を良い雰囲気の中で頂くことが出来てありがたい限りだったのじゃ。ご馳走になったのじゃ。無論、ジーダルにも感謝なのじゃ」

 皆熊さんとジーダルに感謝を述べて、店を出るのじゃ。

 うむ、何というか満足なのじゃ。

お読みいただきありがとうございました。

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