表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
103/247

チーズの普及に力を入れるのじゃ

こんにちは。

今日も一話更新です。よろしくお願いします。


「まずは準備しておいた軽食の方を片づけるのじゃ」

「カツっていろんなものがあるんだね。チーズって今日初めて食べたけどミチカが美味しいって言うだけのことはあるから楽しみ」

 チーズを薄切りの牛肉で巻き、衣をつけたチーズカツなのじゃ。あれじゃ、単純にわらわが己で食べたかったのじゃ。

「わらわはこの地でのチーズ普及にも力を入れる所存なのじゃ」

「なにそれ。でも人気出そうだね、確かに」

「人気が出てもメルデンカシナからの輸入のみでは品薄になるのじゃ。輸入量を増やすと共にこの地での製造を誘致せねばならぬのじゃ」


 話しておるうちに油温も良くなったゆえ揚げ揚げタイムなのじゃ。<加熱>や<経時>なぞの調理系魔法は最近無意識に近い水準で使えておるのじゃが、油温がすぐ整うのもその成果なのじゃ。己の便利さが末恐ろしいのじゃ。

「うむ。サクッとした衣に溶けたチーズと肉の旨味で絶品なのじゃ」

 わらわは自画自賛を厭わぬ方なのじゃ。

「うん。衣にもさっきぐらたんにかけたのと同じ堅いチーズの粉を混ぜてあるのがいいよね。二種類のチーズの味がするよ」

「ぱっと見すぐ真似できるように見えてこの美味しさに至るのが難しいのがその衣のチーズと牛肉を叩いて広げておる一手間のふたつなのじゃ。モリエはこれを覚えておくといいのじゃ」

「わかった。その前の段階のパン粉の衣がミチカの料理以外で見たことないんだけどね」


 まあ、カツレツやトンカツは交易商さんたち絶賛だったゆえきっとカツは流行るのじゃ。問題は油なのじゃが、マインキョルトは結構な流通量があるようなのじゃ。

「持って行ったらの、双子等には食べたら手伝いに来るよう伝えて欲しいのじゃ。チュロスは以前一緒に作ったゆえ基本はモリエとお手伝いで出来るじゃろう」

「そうだね。でもちゃんと見ててね」

 斜めに切って、溶けたチーズと幾重にもなった薄い牛肉の層が見えるよう立てて盛りつけたチーズカツの皿をモリエに託し、菓子作りの準備なのじゃ。


 この厨房の食材でありがたいのは基本の小麦粉なのじゃ。

 前世の水準で言うとまだまだなのじゃが、薄力粉と強力粉が別にあるだけで本当にありがたいのじゃ。

 薄力粉をどっさり使うのじゃが、袋の感じでは薄力粉の方が高そうなのじゃ。まあよいのじゃ。払いはわらわではないしの。

 人の金で作る菓子は美味いか? 美味しいに決まっておるのじゃ。

 卵も惜しげもなく割っていくのじゃ。おっと卵白を少々取り分けておくのじゃ。全卵の方の黄身がその分多くなるのじゃが、まあいいのじゃ。

 材料の準備を進めておるとモリエが双子等を伴って戻ってきたのじゃ。セイジェさんも着いてきたのじゃ。あれかの、グラタンを巡るやりとりで熊さんとの久闊を叙する段ではなくなっておるのかの。


「あのチーズカツ美味しかったよー」

「ジーダルのおっさんは蟹ぐらたんより好きだって」

「あれはただの肉好きよ」

 好評で何よりなのじゃ。己の欲望で作ったものなのじゃがちゃんと食べてもらえたようで一安心なのじゃ。

 熊さんも大食らいどもを黙らせるために相当な皿数出しておったのじゃがのう。安心していいものか多少の疑問は残るのじゃ。

「熊っ、ベアルさんはチーズカツもお店で出したいって言ってたよ」

「まあ聞いてきたらルセットを売りつけるのじゃが、先ずは己で真似しようと努力するはずなのじゃ」


 では作業開始と行くのじゃ。

「今回は油で揚げるチュロスと石窯で焼くクッキーを作るのじゃが、生地が異なるゆえ注意するのじゃ」

「くっきー?」

「小麦粉の焼き菓子ゆえ、似たものはあると思うのじゃ。ただ卵、バター、砂糖を贅沢に使うゆえ似たものがあっても味は違うと思うのじゃ」

 それに一工夫する気なのじゃ。

「前にも作ったチュロスは牛乳を入れて練るのじゃが、クッキーは牛乳を入れず混ぜるのじゃ。後、粉の分量がチュロスより大分多いのじゃ」


 モリエは分量のメモを取っておるのじゃ。ただ、天秤秤てんびんばかりはあるものの重さの基準がグラムであらぬのは当然としてわらわの記憶の中の分量も数字としては曖昧なのじゃ。また転生の記憶を取り戻したときのような夢を見たならば菓子のルセット確認を第一に行うのじゃ。

「分量は生地の具合をみて調整するゆえ混ぜるのは頼むのじゃ。うむ、混ぜるための魔法具を早めに作りたいものじゃな」

「あー、ミチカはなんか魔法でぐるぐる回してたもんねー」

「あれは楽ゆえわらわが生地を作る方がよいのじゃが、ちょっと味を変えるための下準備をするのじゃ。悪いの」

「ぐるぐるは好きだから大丈夫」

「任せて」


「味を変えるってなにをするのかしら」

「大量に作るなら少し違うものがあった方が趣向が変わって楽しかろうと言うだけなのじゃ」

 クッキー生地にはアーモンドパウダーを入れたかったのじゃが、アーモンドが見あたらぬのじゃ。捜し物リストが膨大になっておるのう。

 スタンダードに干しぶどうやドライフルーツを準備して、折角ゆえ紅茶っぽい西方茶を混ぜたものも作るのじゃ。うむ、緑茶を摺り潰したものも準備するのじゃ。

 後、普及に力を注ぐと言うたチーズもじゃの。


「チュロスの方はこの口金さえ渡せば任せて大丈夫のようじゃの」

「うん、任せて。その口金を作ってもらえないか細工屋や鍛冶屋で聞いてみないとね」

 言われて足りぬものに気付いたのじゃ。いや、干しぶどうクッキーは匙で形を作る気であったゆえないならないでよいのじゃが、足りぬのは型抜き用の型なのじゃ。

 チュロスの口金を切り出したのと同じ手法で口金を切り抜いた後放置しておった銅の塊から丸、ではなく聖印にあわせて卵形、後は星形と猫形にと型を切り抜いて展開するのじゃ。以前は取り出した銅塊から空間範囲指定で作った形を収納しておったのじゃが今回は収納空間内の銅塊から範囲指定して切り出しておるのじゃ。展開先は肩掛け鞄の中なのじゃ。うむ、完璧じゃの。

 わらわの使い方も上達したものなのじゃ。


 チュロス生地は砂糖ではなく蜂蜜を使ったゆえプレーンではなくハニーチュロスなのじゃ。その基本のほかに茶葉を混ぜたものと緑茶の粉を混ぜたものを作って後の工程はお任せなのじゃ。

 なにも言わなくとも揚げた後に振る粉砂糖も準備しておる位じゃしの。

 クッキー生地はプレーンなものと茶二種、そしてチーズ入りを型抜きにしようと思っておるのじゃ。

 と言うことで先ほど作った型抜きの型を取りだして、っと言うところでなにやら真剣な顔をしたセイジェさんに声を掛けられたのじゃ。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ