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のじゃのじゃ転生譚 ~のじゃ語尾チート少女のあんまり冒険しない冒険者生活  作者: 七井
第四章 冒険者見習ののじゃのじゃ少女
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蟹グラタンなのじゃ

こんにちは。

今回こそ真100話です。ぐだぐだとまだ続きますがお付き合い頂けるなら至上の喜びです。


 くふふ。厨房を借りたのは料理勝負だけのためではないのじゃ。この辺りの良い方に属する料理屋の厨房で調理器具を確認し、場合によっては収納空間に一旦収納してコピーを取るのじゃ。

「ミチカ、悪い顔」

「いや、なにを作るか考えておっただけなのじゃ」

 誤魔化しきれておらぬのじゃ。

 しかし、熊さんは一流なのじゃろう。しっかり整頓された使いやすい厨房は調理人の頭の中身も整理されてることの証左に他ならぬのじゃ。


「石窯に<保温>と<加熱>の魔法陣が刻まれておるのじゃ。熱との関係で魔漿石は埋め込まれておらぬ簡易型の魔法具形式であるのじゃろうか。薪の無駄を減らすのと魔力を使うのは釣り合っておるのか微妙じゃが、温度調節がちゃんとできるなら素晴らしいことなのじゃ」

「えっ、そう言う魔法陣ってお守りとかじゃないの? 実際に使えるものって思ったことがないよ」

 なんと、こうやって魔法陣をお守り代わりに彫り込んだりする風習があるようなのじゃ。


火伏ひぶせのまじないであらば違う魔法の陣であるべきなのじゃ。それに魔法陣自体に間違いのないちゃんとした陣ゆえ今は伝承的な風習になっておるとしても元々は調理をやりやすくする為の工夫で間違いはないのじゃ」

「へー、そうなんだ。えっと、温度を保つのと熱くするの? 便利そうだけどミチカは使える祈祷なの?」

「うむ、使えるのじゃ。わらわは魔法陣だけでも使えると思うたのじゃが誰にでも使える魔法具と言うものは何か別の技術が加わっておるのかのう」

 モリエと顔を見合わせるが二人とも魔法具に関してそんなに知識はないのじゃ。


「まあそれは今はおいておくのじゃ。早速始めるかの」

「うん、今日は新しいの?」

 ベルゾをやっつけるのとわらわ自身の欲望を同時に満たすメニューは決まっておるのじゃ。

「蟹の身を茹でるのと平パスタを硬めに戻すのは頼むのじゃ」

「硬めね。わかった。てゆうか、ベルゾさんが好物って言ってた蟹のチーズ焼き?」

「わらわが作るのは蟹グラタンなのじゃ。ひと味違うゆえ楽しみにしておくのじゃ」


 さて、ベシャメルソース作りなのじゃ。竈の口数が多くて助かるのじゃが、おそらく夕方からのちゃんとした営業では調理人が他に二名ほどはいるのであろう。

 わらわはちょっとだけナツメグを入れる派なのじゃが香辛料探しはまだ未着手でこの厨房でもぱっとは見あたらぬのじゃ。と言うわけで摺ったニンニクと生姜を葡萄酒で煮詰めて代用の調味料作りも平行して行うのじゃ。

 あとで煮汁を使うために牛の端肉とハーブも煮るのじゃ、ストックじゃな。コンソメをスープとしても食べたいのじゃが料理に使うためにも仕込みたいのじゃ。


「ベシャメルソースは少しずつ牛乳を加えていくのがダマにせぬこつゆえ<経時>が使いにくいのじゃ」

「覚えて使ってみたけど便利以上に魔力が大変だね、<経時>。でも狩りの獲物をすぐに丁度よく熟成させれるのは確かに便利なんだよね」

「うむ、<経時>の問題はそれじゃの。魔法具にしても消費が大きいと持て余すゆえの」

「ただ、双子たちは私より魔力があるから魔法具があれば手伝ってもらえるかな」

 魔力の容量には血統的なものもあるゆえ魔術師の妹である双子等が多いのはあり得ることなのじゃ。あるいはやる気さえあれば兄以上かも知れぬのじゃがどうであろうの。


 バターは高級品ゆえバターを半分にして菜種油を足し、火にかけて牛乳を少しずつ加えて混ぜていく。工程的には簡単なのじゃ。ナツメグ代わりの代用調味料を少しと塩を入れてとろみがついたら、全体的にちょっとなにか違うベシャメルソースの出来上がりなのじゃ。

 タマネギ、とは言うてもいつもの丸くないのでタマではないかも知れぬネギの大きい根っこ、を繊維に沿って薄切りにして炒めるのじゃ。マッシュルームも欲しいところなのじゃが相変わらず茸は見あたらぬのじゃ。残念なのじゃ、ここの厨房には少し期待したのじゃがの。

 炒めたタマネギとベシャメルソースをあわせ、モリエが茹でてくれた蟹の身をほぐして混ぜてタネは完成なのじゃ。


 硬めに戻した平たいパスタを立体的な隙間のあるいびつな三角形に畳んで、まあちょっと熱いのじゃがモリエにも手伝ってもらって準備なのじゃ。マカロニ代わりと言うわけじゃな。

 マカロニなら安心してマカロニを敷いた上にベシャメルソースを流すのじゃが、今回は畳んだ平パスタ、ベシャメルソース、畳んだ平パスタ、ベシャメルソースと層にして入れるのじゃ。

 器はチーズ焼きと対抗させるゆえ真似して甲羅にしたのじゃ。

 そしてチーズなのじゃが、柔らかいのしかないかと思っておったらハードタイプがあったゆえ卸し金で卸してたっぷりかけるのじゃ。


 あとは<加熱>と<保温>で温度調節をした石窯で調理なのじゃが、焦げ目がついた方が美味しそうなのじゃ。出す前に熾火を入れた鉄の籠を<念動>で上に置いてみるかの。

 ふむ、温度調節はやはり問題なく出来るのじゃ。<保温>は薪の消費を抑えるためかと思っておったが庫内温度をきっちり管理出来るのじゃ。便利なのじゃ、自分用の石窯にも是非組み込みたい機能じゃの。

「よし、あとは焼き上がりを待つだけなのじゃが他に一、二品作る準備をしておくかの」

「うん、わかったー」

お読みいただきありがとうございました♪

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