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「ええ!! 収納空間だけで異世界サバイバルを?」 「できらあっ!」

初投稿です。

もし楽しんでいただけたら幸いに存じます。


書き溜め分があるうちは日に二話ずつ投稿する予定です。

「ええ!! 収納空間だけで異世界サバイバルを?」

「できらあっ!」

 こんなやりとりをした記憶があるのじゃ、たぶん神さまみたいな存在と。


「ってなんなのじゃ、それはっ!」

 突然蘇った記憶に思わず『のじゃ』語尾でツッコミを入れつつ跳ね起き、そしてわらわはその次の瞬間すごい眩暈めまいでそのまま寝床に倒れ込んだのじゃ。

「うぅ、ぐらぐらするのじゃ」

 額を押さえた右手を放し、目の前に持ってきてみる。小さいのじゃ。眩暈と驚きで混乱したまま手を握ったり開いたりする。

 確かにわらわ自身の手なのじゃ。

「あたしはアーネ、十歳。そして……」

 息を吐いて今の混乱の元を自ら口に出してみたのじゃ。

「そしてわらわは大沢おおさわ三千香みちか、もうすぐ大学生になる十八歳……、だったのじゃ」

 ええっと、うむ、あの、つまりなのじゃ。ひとりごとだと言うのに口に出すのが気恥ずかしく思えて躊躇ためらう。じゃが躊躇ちゅうちょを払い言葉にするのじゃ。たった四音。

「転生」

 そう、言葉にすると荒唐無稽じゃが本当に『転生』なのじゃ。

 言葉にしたことで何となく胸にすとんと落ちるものがあって己の中で納得がいったのじゃ。


「アーネ! なんか声が聞こえたけど気がついたのか?」

 慌てた風な声とともに少年、ラーリが部屋に飛び込んできたのじゃ。部屋の入り口に扉などないのじゃ。ここは貧しい孤児院であるゆえ。

「うん、ラーリ。目が覚めたとき眩暈が凄かったけどもう収まったよ。あたしどうしたの?」

 寝たまま姿勢をラーリに向けてそう答えたのじゃ。そう、ラーリ。ちゃんと名前と顔が一致する。わらわは間違いなくアーネでもあるようなのじゃ。

 とりあえずうっかり『のじゃ』などと言ってしまわぬよう気をつけねばならぬのじゃ。いや受験の面接対策で結構練習したので大丈夫なのじゃ。いや大丈夫。

「おい、昨日の夜突然ぶっ倒れて凄い熱で丸一日意識がなかったんだ。意味の分からないうわごとを言ったりするし、ちょっと心配した」

 ラーリは枕元に抱えていた水桶を置き上を向かせたわらわの額に水で濡らした布、わらわ的には雑巾だけど仕方がない、を当てる。おそらく丁度水を換えに井戸まで行っていたのであろう。よい子なのじゃ。

「ありがと。でももう大丈夫だよ。ラーリがずっと看病してくれたんだよね、それも改めてありがとう」

 おー、照れてるのじゃ。流石そろそろ思春期の少年。ちなみに汚れた灰色の髪に深い茶色の瞳でなかなかのイケメンに育ちそうな顔立ちなのじゃ。まだまだヤンチャな子どもの雰囲気が勝っておるが将来有望そうなのじゃ。うむうむ。

 などとおばちゃん的なことを考えつつラーリを見上げておると案の定照れ隠しに憎まれ口を叩いてくる。

「うっ、ちっちゃい連中の面倒見るのは俺の役目だからな。アーネはまだちっちゃいから仕方ない」

「あたしはちっちゃくないよ!」

 いや、実際にちっちゃいのじゃが、認めない気持ちは大事なのじゃ。成長具合に関しては栄養状態の問題が大半と推測されるゆえそれさえ改善さえすればボンキュッボン一直線なのじゃ。うむ。

 ちなみに当然同じ理由でラーリも人に偉そうに言えるほど大きくはないのじゃ。身長は年齢並に伸びておるようじゃが痩せ気味で身体の厚みが足りぬ。厚みが全く足りておらぬのじゃ。残念。

「兎に角今晩はまだここで大人しくしとけ。マーリィに言って食い物持ってきてもらうよ」

 いつもしているような軽口の応酬をして安心したのであろう。寝ているわらわの頭を軽くポンポンと叩いてラーリは部屋を出ていく。

 その背中にわらわは心の中で謝ったのじゃ。わらわは確かにアーネでもあるのじゃが同時に前世の記憶を取り戻したわらわはラーリの知るアーネと同一の存在ではあり得ぬのじゃ。ゆえにラーリの思いをわらわは決定的に裏切ることになるであろう。これは確信なのじゃ。


 確信たる理由。それは今わらわが生命の懸かった危機に面しておるからなのじゃ!



読んでいただきありがとうございました。


正直、書いていてのじゃ一人称は辛いです。読み返しても読みづらい気がします。

読んでくださってる方はつらくないです?

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