母への想い(6)
俺は実花が絆ちゃんを見つけたあと、愉快な仲間たちと共に我が家に帰ってきた。
ズシャ――――ン!!! ゴロゴロ!! ビュービュー!!! ザアアアアアアア!!!
台風が本格的に都心に上陸し、外は大雨の上に強い風に雷まで出勤している。もう休むことなく大暴れだ。そんなに働かなくてもいいだろうに……。
天災の世界まで社畜という概念が存在するのか……本当に世界は腐ってやがる。
古いマンションだからギシギシいっていて恐怖を誘う。まるで社畜の雄叫びのようだ……。
まあ、今の状況はそんな社畜天災のことはどうでもいい。
「…………」
「…………」
俺はリビングの中央にあるテーブルの前で正座をしていた。ちなみにテーブルを挟んだ向かいには音無さんが同じように正座をしている。
そして俺の後ろには未来がいつもの無表情で従者のように立っていて、なんか無駄に落ち着き払っているから、怖いSPにも見える……。
「…………」
「…………」
俺と音無さんは仲良くお揃いの表情と瞳をしている……絶望の感情が滲んだ顔と色彩を失った瞳だ。
もう俺ができることは一つだった。ある意味人間が辿り着く最後の極地。プライドという人間が唯一生まれながら持つものすらも投げ捨てる行為――。
それは――。
「すみませんでした!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
土下座だ。
行儀はとても悪いがテーブルに乗っての、それはもう綺麗で美しい完璧な土下座だ。
もうプライドなどない。許してもらえるんだったら足でもなんでも舐める。
そんな覚悟での土下座だ……しかし――音無さんは怒るでもなく、見下すでもなく、貶すでもなく……盛大に慌て始めた。
まあ、18歳の娘が大のおっさんにいきなり土下座されたら当然の反応か……。
「や、やめてください! 店長は何も悪くないです!」
「い、いや、そんなことはねぇ! 全てはあの馬鹿娘が引き起こしたことだ! 全ての責任は俺にある!」
あの後、実花から電話で――。
『なんかきずなんはマミーのところに帰りたくないらしいから、私が預かるねっ! 私も一応家出中だし! 同志だし! そういうことでばいばい~。『友達』の家に泊まるから~』
と――陽気に言って電話を切りやがった。ちなみにスマホの電源も……。もうあいつ……由衣が警察に駆け込んだら誘拐で捕まるぞ。
……と、いうことで……俺の娘がよそ様の娘を誘拐したという訳だ。しかもよりによってこのくそ台風の時に……4歳児を……。
おい……これマジで大ごとだぞ。
「いいんです……絆が私を嫌っているのは事実でしょうから……それに実花さんが一緒なら安心です」
「いや……あいつが一緒だから心配なんだが……」
「ふふっ……私よりはましよ……」
自称気味に笑う音無さん。いやここは本気で怒っていいところだと思うんだけど……今回の一件でだいぶ自信を無くしてるな……。
なんか弱々しい……なんか元気づけられればいいんだけど……。
はぁ、実花のやつ友達の家って言ってたけど……本当に無事なんだろうな。
◇◇◇
その頃実花は――。
『友達』の家で絆と楽しくお話をしていた。
「みかちゃーん。あーそーぼー」
「いいよー。何して遊ぶ? あっ、でもあんまり騒ぐと『お隣さん』に聞こえるから注意してね~。まあ、雨の音がすごいから、そこまで気にしなくてもいいと思うけど」
「うん! しーっだねっ!」
『ふたりとも~ごはんできたよぉ~』
「わぁ~おりょうりがいっぱいだぁ~」
その時、リビングに焼きそばがのった大皿を持った明菜が現れた。
キッチンの方には、餃子、からあげ、カレーなどの料理がまだまだ用意されていた。
そして、明菜はお客さんが来たのが嬉しいのが……楽しそうに食事の準備をしている。
「夢ちゃん! ありがとうね!」
「ふふっ、いいよ。いいよ。私も楽しいしぃ」
そう……実花の家出先はマンションのお隣だった――。
そして、現在、隣の義孝の部屋には由衣もいる。もう茶番以外なにものでもなかった……。
キャラインタビュー
『罪が一つ許されるとしたら?』
生名「三沢の服装を無理やり真面目にしてみたいわね……」(しみじみ)
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