表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第1章『実りあるもの』
31/497

娘現る(6)

 数日後の夕方。


「……」


「……」


「……」


 俺の家の中央に置いてある机を囲んで、俺、夢野さん、娘を名乗る何かの3人は神妙な面持ちで正座をしていた。

 机の上には一枚の封書が置かれている。


 いつもの俺なら女性が自室にいることに興奮しまくり、わざと分かり易い位置にAVを配置して、夢野さんの反応を楽しむところだが……今はそんな余裕はない。


「パパ、ついにDNA鑑定の結果が来たね……」


「ふん、別に結果は決まってるんだから、気軽に見ようぜ」


 そうだ。そこまで気にすることでもない。いきなり来た美少女が娘なんていうことはありえない。ふん、性格はあれだが、こいつは顔はアイドル並みだ。俺のDNAなんて一ミリも入っていないだろう。

 うんうん。そうそう。もし違ったらその場でナンパでもしてやろう。


「さあ、開けるぞ……」


 封書をあけて、便箋を取り出す。そして高鳴る鼓動を無視して中の書類を見ると――。


「……専門用語が多くて何がなんだかわからん……夢野さん、代わりに見て貰ってもいいですか?」


 実は夢野さんにはこんな時のために来てもらっている。お隣さんに見せる書類ではないと思うが、素人の俺が書類を見るより現役看護師に見て貰う方が確実だろう。


 はぁ、最近迷惑かけてるから、なんかお礼しないとな。


「えっ、わたしですか……? プライバシーな書類なのにい、いいんですか?」


「ええ。夢野さんなら信頼できるので。2年お隣さんやってるんで」


 本格的に話すようになったのは数日前だけど。まあ、社畜に悪い奴はいないというし、大丈夫だろう。


「し、信頼……そうですか……そうですか」


 夢野さんは妙に上機嫌で書類を受け取った。

 そして、その様子をを見ていたパリビが顔を耳元に寄せて声をかけて来る。

 やめい、ドキドキするじゃねぇか。


「パパって、けっこうモテるの?」


「なんだ急に、俺はモテた記憶はねぇぞ。10年以上仕事が恋人だ」


「へぇ、ならママを除くと素人童貞なの!?」


「お前言葉に気を付けろよ! 泣くぞ。大の大人が大泣きするぞ!」


「それ動画投稿サイトに上げてもいい?」


 鬼か。


「だいたい俺の初体験の相手がお前の母親だと決まった訳じゃ――。」


 ピンポーン。


 言い争っていると突然チャイムがなる。

 なんだ? 客は……ないか。俺は友達はいないし。世の中は無情だ。頑張って働いているのに、休みがないという理由だけで友達が減っていく。

 孤独感だけが友達。


 ピンポーン


「パパ出なくてもいいの? なんなら私が出ようか?」


「何がなんならだよ。いい俺が出る」


 めんどくさい気持ちになりながらも、立ち上がる。

 どうせ新聞の勧誘とかだろう。さっさと断ってしまおう。


 ピンポーン。


「はいはい。今出ますよ――」


 ガチャ。


 何も考えずに扉を開ける。

 すると――。


「初めまして、お父さん」


 思考が止まる。扉を開けると自称娘の実花と『同じ顔の子』が不機嫌そうな表情で立っていた。

 服装は初めて見る紺色のブレザータイプの制服で、清楚な感じがする……。


「……って、なに瞬間移動でも覚えたの?」


 そんな期待を込めて、後ろを振り返る……。

 だが、自称娘様は「あはは……」っと、苦笑いを浮かべている。


「お前分身の術でも使えるの?」


「いや……えっと、実は……」


「『お姉ちゃん』。自己紹介ぐらい自分でするから。初めましてお父さん。私は未来みき、そこの実花の双子の妹です」


 ニコリともしないで事務的に言う。

 待て……ひとつだけ言いたい。本当にひとつだけ。


「はあああああああああああああああああ!? お前双子なの!?」


「パパ近所迷惑だよ?」


 うっせえよ。


「え、えっと結果が出てからそれも言おうとしたんだけど……てへぺろ」


「お前ふざけんなよ! ただでさえクソめんどうくさい状況なのにひとり増えただと!? いや待て……まだ結果が出たわけじゃない! もし違うならお前らが双子でも5つ子でも俺には関係ない!」


「親子ですね」


 書類を見ていた夢野さんがぽつりと呟く。


「えっ……?」


「書類を見る限り、実花ちゃんと川島さんは間違いなく親子関係です。おめでとうございます」


 晴れやかに言う夢野さん。この人何言ってるんだろう。言っちゃなんだけどこの人も馬鹿なんじゃないだろうか。


「パパ、これからよろしくね♪」


「よろしくお願いします。お父さん」


「ん? あ、あれ? なんで実花ちゃんがもうひとりいるんですか?」


「……か、勘弁してくれ」


 ここで俺の人生は決定的に変わった。

 数日前まで社畜サラリーマンだった俺は、リアルJKそれも双子の子持ちなったのだった……。

社畜あるある①

太陽の日を浴びることが珍しい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ