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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
外伝『アーリーデイズ』
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外伝『アーリーデイズ』(23)

「お兄ちゃん! ココアとチャイを冷たくでざるううう!!」


 エプロンを付けたアヤメがてくてくと俺に近づいてきた。

 うむ……。金髪幼女のエプロン姿というのは中々見られるものじゃないからな……。アヤメの整った容姿も相まってとても可愛らしい。


 まあ、幼女が喫茶店の店員をやってもいいのか……という疑問は多分にあるが……。

 労働基準法を心から愛する身としてはアヤメを働かせるなんてとんでもない……だが、アヤメ自身が非常にやる気だからな……。


 そもそもアヤメの場合は労働ではなく、お手伝いか……物は言いようの日本語が嫌いだ。


「おい、お前はそろそろ休んでいてもいいぞ?」


「えええ!? いやだでござる! あやめもお兄ちゃんたちとてんいんさんやるもん!」


「はぁ、なんでそんなに働きたがるんだよ……俺は今すぐ投げ出したい」


 突然バイトをすることになった理不尽の所為か、ぽろっと弱音が出てしまう。それを聞くとアヤメはぷくっーと頬を膨らませる。


「もうっ! お兄ちゃん! 一度決めたことはきちんとやらなくちゃダメでしょ! むぅ」


「はいはい……」


「返事はいっかい! 武士は一日にしてならずだよ!」


 こいつは俺のおかんみたいだな……それに俺は武士じゃないし、意味違う……。

 まったく……アヤメの機嫌を損ねてしまったな。いくら仕事を嫌う俺でも社内の雰囲気を悪くするのは心苦しい。

 でも――。


「アヤメちゃん、アヤメちゃん……こっちおいで」


「……? なぁにお兄ちゃん」


 俺は不機嫌そうにしているアヤメを傍に呼ぶと頭をなでなでとする。

 するとみるみるとするうちにアヤメが笑顔になっていく。


「えへへ……お兄ちゃんのなでなですきーー」


 うむ。これで解決だ。

 ついさっきまで不機嫌だったのに今では撫でられた猫の様に気持ちよさそうにしていた。

 しかし……こいつ単純すぎじゃないか……? 兄としては将来悪い男に騙されそうで心配なんだけどな。

 気にしすぎな気もするが一応釘をさしておくか。


「いいかアヤメ。あんまり他の男になでなでとかさせちゃダメだぞ?」


(何で? とか聞かれたらどうしようか……? 男はオオカミだと教えるか? うーん、でもそれを小学生に言うのはどうなんだ……?)


 まじめにどうしようか悩んでいると……アヤメが自慢げに胸を張る。


「ふふーん、お兄ちゃん大丈夫! 美奈ちゃんからお兄ちゃん以外の男の子にさわられたら「死よりも恐ろしいことがあるという、このよのしんりをおしえてやれ」って言われてるからっ!」


「…………」


 あいつ、子供に何教えてるの? めっちゃ姉馬鹿じゃねぇか……物騒だな。こいつ無駄に行動力があるのに……。


「…………」


(でも……あれか。アヤメはこんなに可愛いんだからそのぐらいこのぐらい大げさに言い聞かせてもいいのかもしれない。よし……俺も一言いっておこう)


「アヤメ。さらに触られた時、嫌いなものを見る目で「触るな下郎!」って脅すといいからな」


「うん! わかった!!」


 ……これで軽い気持ちで近づいてきた同年代の男子は心をぽっきりと折られるだろう。小学生ならトラウマにもなりかねないけど……まあ、我が妹に気軽に触れるのが悪い。


「お兄ちゃん! お兄ちゃん! あやめもっとお仕事頑張るからもっとなでなでして!」


「ああ、いいぞ」


 なでなで。


「えへへ……あったかい。ママにされてるみたいでござる……」


 アヤメは嬉しそうに笑みを浮かべながらも、ほんの少しだけ寂しそうにした気がした。

 やはり……この歳で母親と別々に暮らしているのに寂しさを感じているのだろう……。


(今はキャッチマンを待つしかない……だからこそ)


 アヤメにはできる限り寂しさを感じさせたくない。

 

「えへへ、お兄ちゃんのなでなですきー……えへへ」


「そうかそうか。それじゃあもっとしてやる」


 俺がアヤメの頭を撫で続けていると……後ろから視線を感じた……。

 嫌な予感がする……。


 俺は恐る恐る後ろを振り向くと……。


「くすっ義孝君ってロリコンだなぁ」


 酷い言われようだ。

 俺の視線の先には悪戯っぽい笑みを浮かべている美奈がいた。


「ねぇねぇ、私にもなでなでしてほしいなぁ」


「! 美奈ちゃんだめぇ! 今はあやめの番なんだから!」


「くすっ、えー、いいじゃん。アヤメちゃんいっぱいしてもらったでしょ?」


「む、むぅ……で、でも今はアヤメの番なの!」


 アヤメと美奈がにらみ合う。まあ、美奈はとても楽しそうだけど。


(はぁ、少しでも早く母親に会わせてあげたい)


 俺は改めてそう強く感じた。

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