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黒澤さんちの五兄弟   作者: 黒澤 優
1/1

1日目

 人生をやり直したい。

 少なくとも誰しも1度は考えたことがあることじゃないだろうか。恥ずかしい体験をした瞬間に発作的に考えるやつもいるだろうし、ふと自分の人生を振り返って思い悩むやつもいるだろう。生まれた時から巨万の富を持ち、完璧な計画を立てて完璧な人生を送っているやつらでさえも何かしら思い悩む事があるんじゃないか。 完璧な人間なんていないんだからやはり誰しもがどこかのタイミングで人生について考えるのであろう。

 ではどのタイミングから人生をやり直したいか。

 これは人によって様々な答えが帰ってくるだろう。失恋したばっかりの女性なら「分かれる前のあの楽しい時間に」と願うだろうし、今の自分に絶望している人なら「いっそ生まれる前からやり直したい」なんて言い出しそうだ。どこからやり直すかという問いに対する答えはその人がそれまでに蓄積させた記憶やら思い出、その時の感情に左右される。

 そろそろみなさんが開幕から何を話しているのかと頭にハテナマークを浮かべている頃だろう。人間というのはだいたい二つ目の問いを投げかけた頃からその話に傾聴する事をやめるらしい。内容がはじめからぶっ飛んでいるだけに、最初のクエスチョンからハテナマークいっぱいになってる人もいるかもしれない。逆にこんな奇妙な文章を真剣に読んでいる私と同じ思考の変態さんも1人2人くらいはいるだろう。


 また話がそれてしまった。こんな事をべらべら喋っているから本題に入るまでのテキトーな前置きが長すぎると怒られてしまうのだ。少しは反省しなくては。

 つまり私が何を言いたいのかというとだな…


 「馬鹿げた妄想を抱く前のあの時まで戻りたい。」それだけだ。


「 なんで私は女として生まれなかったのだ。」唐突にこのような考えに至ったのが、全てのことの始まりである。

 別に思春期の男の子特有の不純な意味合いはこの考えには含まれていない。いや少しはあるかもしれないが…。だがそんな気持ちもほんの少しだけでこの考えに至ったほとんどの理由は別にある。

 その至った経緯を説明するにはまず私が何をしていたのかを説明した方が良さそうだな。


 八月の中頃。私はとある場所に向かっていた。気温も高く、出来ることなら外に出ず、エアコンの効いた涼しい部屋でグダグダしていたい。そんな日に私が向かっていた先は、イオ〇モールのような商業施設の一角にある場所だ。施設内は空調がガンガンに効いていて、外から来たばっかりで汗だくの私の肌を、一瞬にしてサラサラにしてくれた。涼しいを通り越してちょっと肌寒いくらいだ。店の入口には少しホコリのかぶった風鈴が吊るされている。その風鈴の少し鈍い音を聞きながら店内に入ると、そこにはたくさんの服がずらっと並んでいた。服には値札の上から30%引きのシールがついている。壁や天井などスペースの至るところにサマーセール開催中のPOPが乱雑に掲示されている。


 そう。服屋さんに私は来ているのだ。服屋さんという言い方もほとんどの人々はしないだろうが、私にはこれに勝るこの店の呼び名を知らない。ファッションセンターなんて呼び方も出来ない事は無いが、それなら字数の少ない服屋さんと言う方が名前を呼ぶ時に短くて済むし、何より「〜屋さん」とお店の名前を言う方が可愛げがあって私は好きだ。

 その服屋さんの中で私はセール品を物色していたのだ。夏の終わり頃には夏物が安くなる。庶民の皆様なら知っていて当然の知識であろう。店内には私以外にも何人かお客さんがいて、値札とお財布に視線を行ったり来たりさせている。毎年のようにやってくるこのイベントはもはや夏の風物詩と言っても過言ではない。

 そんな一大ビックイベントで様々なマネキンやディスプレイ、陳列されている服を見ながら自分の好みの物を探していたのだ。ちなみに私は服のセンスが絶望的に無い。それは自他共に認めるべきセンスの無さだ。

 つい先日も久しぶりに友達に会いに行くのに、大きくてカラフルなパンダの顔面が印刷されたピンクのTシャツをチョイスし下は普通のジーパン、チェックのこれまた派手なシャツを腰巻きにし、ブルーの紐が特徴的なカラフルなリュックを背負ってルンルンで会いにいく私を友達2人は会って早々、「そのパンダを早くしまえ!恥ずかしい!」と2言。特にパンダTシャツに関して言えば私のお気に入りだったのだが、今になって思えば、大阪のおばちゃんが着ていそうな虎のシャツとも張り合えそうなくらい派手なパンダをよく満足げに着ていたなと思い出しては恥ずかしくなる。

 基本的に私は他の人物とかぶらない服を選ぶ傾向がある。友達同士が遊びに行って、白シャツに短パンのコーデがかぶってちょっと恥ずかしく照れくさい思いをする。そういうのがあんまり好きじゃないのだ。そのため必然的に街でよく見かけるような服は避けてしまう。その結果がパンダTシャツであったり、カラフルリュックであったりする。無論それらもちゃんと使えばオシャレに着こなせるのかも知れない。

 だが、あいにくそんな技量を私は持ち合わせていない。そんなファッションセンス無し、コーデ力0の男が服を買いに来ているのだ。何とも滑稽だろう。その上店員さんから「どの服探してるんですか?」と声をかけられても、「あっ、自分は大丈夫なんで…」とセリフでカッコつけてしまう。本当は少しでもオシャレについて教えて欲しいのに。誰が見ているわけでもないのにほんとに何をやっているのか。

 しかし、私にも向上心というものは存在する。最近はファッション雑誌も立ち読みし、どんな服装が流行りなのかをしっかりリサーチしている。もちろんその中でも、他の周りの人物とかぶらない物を選ぶわけだが。

 そんな勉強熱心な私のリサーチによれば、最近では男でもゆるふわで可愛らしいファッションが流行っているそうだ。なんたってファッション雑誌に載っていたんだから間違いないだろう。白シャツに短パンを着ている周りのやつらともかぶりそうにないし、私にとってはとても好都合なファッションであり、新たな挑戦となる物で非常に興味深い。ちょうど今日は午後から暇だった事もあり、雑誌の内容をスマホにメモし雑誌のコーデを写真に撮って、新しい自分を見つけにここまでやってきたというわけだ。そしてこのお店は雑誌に書いてあった服のイメージに1番近い店なのだ。最近はスマホでちょろっと検索すれば簡単に欲しい情報が手に入るからとても便利で助かる。一々電話帳と地図でお店を探していたあの頃が懐かしい。

 話がまた脱線してしまった。その店の中で私はゆるふわな可愛らしい服を探していた。だが置いてあるのはいかにも他の人々が来ていそうなよく見る服ばかり。私の望むようなものはなかなか見つからない。ちょっとしたため息をつきながらあたりを見回す私に、レディースのマネキンが目に映った。それはとても可愛らしくそして何より街で見たことないようなゆるふわなコーデであった。これはいい!思わずちょっとテンションが上がってしまった。しかし現実を思い出す。私は男なのだ。その時私はこう考えた。「あぁ、私が女ならこのマネキンそのままパクれたのに。なんで私は女として生まれなかったのだ…」


 こういう事だ。思い返してみれば特に不純な考えなど持ち合わせていなかったのだな。あくまでも他人とかぶりたくないという純粋な心とゆるふわへの執着心。それらが私にこう考えさせたのだな。男の私がレディースの服を着ていると、そっちの人なのかとかヤバイ奴なのかと周りから心配される。まぁレディースのマネキンを見て、ちょっと心動かされているようで、もうそっちの人になりつつあるのかもしれないが、まだ、男性という名の一塁ベースを踏んでいる状態で、ファーストにタッチされたようなラインであるため、皆様にはひかないようにしてもらいたい。しかし思えば、女性にはボーイッシュな格好ってのはあるのに、男性にはガーリッシュな格好というのは無いじゃないか。仮にあったとしても、「ガーリッシュな男の人好きなんですよねー」という人を見た事があるだろうか?いや、ない。やはりガールズサイドの服装が男性は着れない以上、女性よりもファッションに関しては若干不利な環境なのかもしれない。女性の方がファッションの構築の幅が広いのだ。むむむ、そう考えるとやはり女性が羨ましくなってきた。女性だったら私のファッションも通用するかも知れないのに。これほど悔しいことは無い。いっそファッションコーディネーターにでもなって、私の力というものを世間に知らしめるべきなのかもしれないな。いや世間どころではない。「そのパンダを早くしまえ!恥ずかしい!」と言った友人に見せつけるようにファッションで世界をとってみるか。さすれば私がファッションの中心となるのだから、私が着る服すべてがオシャレとなる。そうと決まれば早速……


「もしもし。」

「ひっっ!!」

 変な声が出ただろうが。急に話しかけてくるとは失礼なやつだな。

「いかがなさいましたか?先ほどからこちらのマネキンを見られて悩まれていたようでしたが。」

 店員かよ。俺の脳内妄想タイムを邪魔するとはいい度胸だ。今や世界をとろうとする俺に話しかけるとはな。

「いっ…いや。そうなんですよ。僕、妹とかがいるんでよくレディースの服とかがあったらつい見ちゃうんですけど。ちょっと服装とかが気になっちゃって……」

 くそっ!いつもの癖でちょっと下手に出てしまった。

「やっぱりそうですよね!私も気になってたんですよ!お客様はどのへんが気になられましたか?」

 やはり店員も気になるか。君がこのマネキンをデザインしたのかね?いいセンスだ。ハッハッハーとでも言ってしまいたいが、ここはもう下手に喋っちゃったから弱々しく控えめに。

「特に羽織ってるカーディガンとかが…」

「そうですよね〜。そうなっちゃいますよね〜。私もカーディガンがと思ってたんですよ。」

 一々俺の言葉を遮ってくるなこの店員。柳〇可奈子のモノマネみたいな店員ってほんとにいるんだな。

「あと、スカートとかも気になるんですよね。そして全体のシルエットが…」

「わかります。わかります。カーディガンとこのスカートの色の組み合わせがセンスないですよね。その上全体のシルエットがスッキリしてなくて、正直センスない感じになってるんですよ〜。」

「そうですよねー。やっぱりそうなっちゃいますよねー。……。」



 ん?



「このマネキン。元々は違う服を着ていたんですけど、お客さんにお出しすることになって、今日慌ててそこら辺にある服をテキトーに着せちゃったんですよ〜。直そうにもさっきまでお客さんが多くて、なかなかタイミングが無かったんですよね〜。ほかのお客さん気付いてたかも知れないですね〜。恥ずかしいです〜。」

 そう言うとスタッフは、いそいそとマネキンをバックルームに持っていった。

「………………。」

 言葉が出なかった。心の奥でポキッと何かが折れたような気がした。かっこつけてファッションについて考えていた昔の俺のところまでタイムリープして、今すぐ殴りたい。てか誰か殴ってくれ。でもこんなところでこれ以上恥ずかしい思いをしたくない。顔から火が出るとはこの事か。火どころではない。絶賛炎上お祭り騒ぎだよ。誰だよ他人の顔でキャンプファイヤーしたやつは。ちゃんと火の始末くらいしてくれよ。


………………帰ろう。


他の店員の目を避けながらそそくさと俺は帰路についた。帰り道に買って食べながら歩いたチョコレートアイスは何故だかしょっぱくほろ苦い味がした。あぁこれが青春ってやつなんだな。目から汗が出る止まんないや。スマホからは雑誌の記事や写真類を全部消去した。当分服は…いいかな…。次行く時はセンスの良い友達でも連れていくか。そうしよう。



……あぁ、人生やり直したい。




 8月25日木曜日

 今日もいい天気だった。優。

携帯で文章作るのって正直しんどいですね。キーボードが欲しいです。なんかスマホ用のキーボードもあるらしいんですけど、ああいうのって持ち運びには便利なんですけど使いづらそうでなかなか手が出ないですね(笑)

と言うより文章書くのが難しいですね。当たり前だけど。知ってたけど。言いたい事はいっぱいあるし、べらべら喋ろうと思えばいくらでも喋れそうだけど、言葉をつなげ文章にしようとすると詰まってしまう。あぁ、これが恋ってやつなのかしら(*ノωノ)ポッ こんな作業をやってのける小説家のみなさんって本当に凄い方か変人かのどちらかですね。(褒め言葉)さらに、その大変な作業を趣味でやっちゃおうって人がこのサイトには集まってるんですよね。凄いことですよ。あっ、別に煽ってたり貶したりしてるわけでは無いですからね!そこらへんはお間違えのなきように。

あと斉木楠雄のアニメ面白いですね。あぁいうシュールなアニメは大好きです。アニメで思い出したけど、君の名はも、友達にネタバレ食らう前に早く見に行かなくちゃ。てか美少女と入れ替われる物語の主人公っていいですよねー。だって何でも出来ちゃいますよ?やりたいこと。男の子の夢ですよね!いやーうらやまですー。 周りを歩く男子共の視線を釘付けに出来るし、ゲーセンの店員さんに景品とる時とか優しくしてもらえるし、クレープ屋さんに並んでても気持ち悪いと思われないし、1人でプリも堂々と取れるし……数えたらキリないですよー(笑)

……はぁ、美少女に生まれ変わりてー。


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