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ジャンピング・トゥ・コンクリュージョン
「あなたが狂言王になってわたしを救って」
少しの間をおいて、彼女は僕へ言った。
暗い路地裏。追ってくる追手。僕を守りながら逃げる彼女。
彼女は先程万策尽きた。一切の無策であった。
その彼女はこの安全圏に入るまで全くの弱音を吐かず、僕を導いたのだ。
ズズン……。向かい合う彼女と僕の立つ汚れたコンクリートが振動した。
背中越しに街を歩く人々の悲鳴や怒号が聞こえてきた。きっと街道では、人間のあずかり知ることのできない、そんな力が猛威を振るって、たくさんの人が助けを求めている。
誰か、と、街から悲鳴が響いた。
救けを。
目の前の少女もまた、僕に望みをかけていた。僕なら彼女を救うことができる。
……答えは決まっていた———————。