日常 屋上の主夫男子の独り言
トム「独り言って矛盾すること多いよな」
唐突だが、俺の両親は海外に行っていてなかなか帰って来ない。昔は俺もついていって色々な国を見て回っていたけれど、中学生くらいからは一人暮らしをしている。
「なんであんな過酷な旅になるんだろうか、あの人たちは…」
海外、というのはアメリカやフランス、ドイツにイタリア、アフガニスタンなどのこの世界特有のものから、他の次元にある異世界なんてものまで多岐にわたる。あの人たちは自分で異世界に行けるなんてことをやってのけるものだから、もう呆れて言葉も出ない。
「それが普通だと思ってた俺も、異常だけど。」
自分の普通が他人の異常だと気付いたからと言って親を変な目で見ることはないし、他の普通じゃない人を避けるなんてことはしない。
「ま、自ら首を突っ込むことはないし、関わるなら全力で、だな。」
たとえタキやリンダが友情以上の気持ちを俺に向けているとしても、この学校で逆ハーを企んでいる子がいても、ましてや勇者が来ようとも。
「俺は何もしない。出来ない。」
俺は日常で生きている。親の力は受継げなかった。主夫としての能力は高いから、生きていくのは容易いだろう。
「俺が、きちんと好きになれる子は、誰だろうか。」
仲の良い女の子はいくらか思いつく。その中でも好印象なのは2人。男を対象に見たことはないから、タキやリンダが俺を落とすのは時間がかかるだろうな。
「アプローチしようにも、自分の気持ちがわからないなら、仕方が無いよな。よし、当面は友情を育みますか。」
誰もいない、屋上の独り言は誰にも聞かれずに終わるのだった。




