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1話;プロローグ
プロローグ
ある山中の家。
明かりもなく、窓からの月明かりに目を細めている男がいる。
男が、動かずにいると、どこからか音もなく1匹の美しい毛並みの狼が
どこかで捕まえたであろう鳥を咥え、家に入ってくる。
「なんだ、また来たのか。」
男は、そういいつつ狼が持ってきた鳥を調理して食べる。
その間、狼は近くに寝そべりじっと男を見ている。
食べ終えて、ふと狼のほうに目を向ける。
狼はただ、じっと男を見つめる。
ここ数日、毎日訪れているが男を襲うでもなく食料を持ってきて、男に渡し
しばらくすると帰っていく。
狼の近くに腰を下ろし、狼の背中を優しくなでる。
特に嫌がるそぶりを見せないので、そのまま話しかける。
「死ぬまで待ってくれているのか?まぁ、いいさ。誰にも信じてもらえなかったが
お前にも話してみても変わらんだろうし、聞いてくれるか?」
そして、話し始めるのが近いのに遠い昔のように感じる話。
男の・・・月原秀人≪つきはら ひでと≫の始まりの物語。