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気づき
教室のドアを見ると、先生と、父、母が立っていた。
でも私の知っている父と母とは全くの別人だった。しかし私の頭の中は自分の親だと認識していた。
「今日は大事な用事が出来たから、早めに帰るよ。」
そう言った父の顔はいつもと変わらず笑顔だった。
母はと言うと、涙を流した後のようで、目が真っ赤に腫れていた。
私は不安になって、髪留めをポケットに入れて母に走り寄った。
母はしゃがみこんで、私をギュッと抱きしめてくれた。
そのまま母が立ち上がろうとした時、一人の老人が教室に入ってきた。
その人には見覚えがあった。私が働いている会社の上司だ。
でも、老人ではなかった。小学生の娘さんがいる30代の上司だったはずだ。
そこで私は恐ろしいことに気が付いた。
私が小さい頃に戻ったんじゃない、ここは未来なんだ。




