出会い:一人目
さぁ、何人までいくのか!?
まだまだ名前出てきません。
「……ん」
(……ここは?)
目が覚めると見慣れない景色。
白っぽい天井がぼんやりと視界に映る。
(あれ? 私、死んだんじゃ……)
一瞬そう考えたが、まだ腕や足にはまだ痛みが残っていて自分が死んでいないことを悟る。
辺りを見渡してみれば、派手ではないが一目で物凄く高いものだと解る家具が置いてあり、自分が寝ているこのベッドも持ち主のセンスのよさが分かるような高級な代物だった。
(あれ? 私、獣に襲われて……)
突然のことに頭が付いていかないのは当前のこと。
ただ夢なら早く覚めてほしい。
これ以上知ってしまったら……戻れなくなるから。
――コンコン
控え目なノックの音が部屋に響いた。
少女は毛布を持ち上げ、食い入るように扉を見つめる。
ドアの向こうの人物が小さく「……入るぞ」と言ってドアを開ける。
現れたのは身構えていた少女も息を呑むような美形だった。
服を着ていても分かる無駄のない、引き締められた身体。
鋭く研ぎ澄まされた瞳は深紅。
短いながらも艶があり、整えられた黒髪。
――美しい。
その言葉でさえも物足りないと、そう思える程その男は美しかった。
まじまじとその顔を見ていてハッとする。
「助けていただいたのにお礼も言えず、すいませんでした!」
慌てて頭を下げる。
「……」
しばらくの沈黙の後恐る恐るその顔を見てみれば。
「……くっ、ははっ」
何故かその人は目元をその大きい手で覆い、……爆笑していた。
(私何か失敗したかしら……)
そう考え青くなっていると、笑いが治まったらしいその人が顔を近付けてきた。
ギリギリの所で止められたその顔に、その瞳に目を奪われる。
逸らさなきゃいけないことを理解しているはずの頭が、言うことを聞かない。
間近で見ると更に整ったその顔に穴が空いてしまうくらい熱い視線を注がれて身体中の血液が一気に上昇した気がする。
俯いて目を逸らし、もう一度お礼を言う。
「あの、ありがとうございました。お礼なのですが、今は何も持っていなくて……ですが必ずこの恩は返させて貰いますので! ……きゃっ!!」
(……て、手が……)
お礼を言っていた筈の人の手は今、自分の身体をまさぐっていた。
しかしその手つきはとても優しく、美しい曲線をなぞるような繊細なもので。
(か、身体中がムズムズする……)
息が浅くなりさっきよりも心臓の鼓動を感じることができた。
「……ひゃぅん…!! っぁ~…」
甘い声が漏れ、恥ずかしさに打ち震えていると惜しむようにその手は退いていった。
「……傷は大丈夫か?」
突然の問いに意味が分からなかったものの、自分の体を見ればさっき触ったいた場所は皆、多少の治療が施されていた。
……つまり、さっきのはそういう訳で。
(死んでしまいたいっ……!!)
恥ずかしさにもうどうにかなってしまいそうな程顔を真っ赤にした私に向かってその人は少し慌てて言った。
「……勝手なことしてすまない。は、裸は見ていない……平気だ」
ぎこちない手つきで自分の髪を掻くその姿に恥ずかしさはまだ残っているものの、心配等が薄れていった。
「いえ……こちらこそ助けていただいた上に治療まで……本当に何と言っていいか――」
本当に私は役に立てないどころか人様に迷惑を掛けるダメな奴だということを知った。
本当に、ダメな――。
「……そんなことは、無い」
「……え?」
驚きに見上げれば、その人の真紅の瞳に私は捕らえられていた。
「……お前は、駄目なんかじゃ、ない。自分を責めるな」
(なん……で、今)
知らなくてもいいことだと彼の目は言っていた。
「疲れただろう。……ゆっくり休め」
扉が閉まる、音がした――。
彼は次回で。
2/6 0:22 少し変えさせてもらいました。
誤字脱字あれば言ってください。
3.1 修正致しました。