出会い:五人目
お久しぶりです。
凄く遅れましたが、予告通り五人目の登場です。
『――』
“何もない世界”。
そう形容するのがぴったりだと思った。
いや、そう形容するの他に何と言い表せるだろう?
何もないから見えないのか、何も聞こえないから誰もいないのか。
本来あるべきである筈のものが欠如してしまっているから現の世界ではないと思えるが、それ以外何も分からない。
いっそ白々しい程の<嘘>を重ねるキャンパスの様な。
全てを白く塗りつぶした、本当の姿を決して見せようとはしない真っ白な世界。
全てを<嘘>で塗り固めた白。
その透き通る程の白さの裏には何色が隠れているのやら。
憎悪の紫か、嫉妬の紅か、失望の黒か――分かりは、しない。
* * *
目を開けてまず視界に入ったものは、思わず目を逸したくなるほどの真っ白な世界。
でも、どこを見ても景色は白一色だけ。
意識はしっかりしている筈なのに、どこかぼんやりとした頭で、夢か現か分からない。
……いや、いつも梨緒にくっついている三人の姿が見えないから現でないことは確かなのかもしれない。
『――乙? 丙? 戊?』
彼女の呼び掛けは虚しく消えていく。
いつもどんなにしつこいと思っていても、呼びさえしなくても梨緒の周りに付いたままである彼らの姿はなく、その時初めて彼女は不安さえ無かったかのように覆い隠す白が怖いと思った。
神々しい光が恐ろしいほど冷たく思えた。
夢の中であるなら感じない筈の寒気が襲い、彼女は考える。
(いつもだったら、悪夢を見ている私を優しく目覚めさせてくれるのに)
そう、彼らと一緒に暮らし始めてから悪夢の数というのは随分と減った。
それは彼女の生活が不安など感じないものに変わったからでもあるが、一番の理由は彼女が悪夢を見て少しでも――そう、きつく閉じた瞳からたった一粒の涙を流しさえすれば彼らが彼女を悪夢から自分達の元へと呼び戻してくれるからである。
けれど今それはなく、どんなに叫んでも彼らは現れない。
(――どうして)
彼女は咄嗟に出かけたその呟きを唇を噛んで飲み込んだ。
自分は愛されていない、されてはいけないと言いながら彼らの優しさに甘えていた罰がくだったのだろうか。
――笑い合い、愛されることが当たり前になっていた自分への罪。
――愛することを自ら禁じておきながら本当の愛を、自分自身を誰かに預けたいという淡い思いを抱いた罪。
――そして、本物の“愛”を望みながら弱音を吐いて認めることの出来ない罪。
どれも自分が望んだこと、な筈なのに。
何故だかそれが実現してしまうことがとても、怖かった。
『――いつまでそうしているつもり?』
不意に掛けられた少し苛立ちを含んだその声に頭を上げて見やれば、新緑を思わせる美しい髪を無造作に掻き上げ、アッシュグレーの瞳で明らかにこちらを睨んでくる少年がいた。
……何か私が書くと『素直』『純粋』『真面目』のキャラが反転することが最近判明。
申し訳ないです><




