占術による最初の奇跡と成り上がりの予感
決意はすぐさま、過剰なまでの行動へと昇華された。
最初に向かったのは、馴染みのカフェの片隅。
そこで始めたのは、独自の占術と心理学的な洞察を組み合わせた人生相談だ。
「あなたの苦しみのきっかけは、三年前のあの決断にありましたのね。これまで、本当によく耐えてこられましたわ」
リヴィアは相談者の手を強く握りしめ、逃げ場を塞ぐように見つめた。
「でも、もう安心なさい。私があなたのための、最も光り輝く人生の設計図を引いて差し上げますわ」
相談者の幸福を当人以上に執拗に、かつ完璧に追求する彼女の献身は、瞬く間に奇跡として王都を駆け巡ることとなった。
一年という歳月は、失意の令嬢を国の根幹を支える賢者へと変貌させた。
縁談から新事業、果ては国家財政の立て直しに至るまで、あらゆる人々が彼女の託宣を求めて列をなした。
ついには、魔物との戦いにおける戦術予知の才能が認められ、王宮直属部隊を率いる史上初の女性リーダーへと上り詰めたのだ。
すべては、あの男を振り向かせるという、ただ一点の重すぎる情熱が成し遂げた、あまりにも巨大な副産物に過ぎなかった。
リヴィアの容姿は、見る者の心を無条件に和ませる春の陽光そのものであった。
絹のように滑らかな金髪が華奢な肩を縁取り、潤みを湛えた大きな瞳は、向けられるだけで相手の孤独を溶かしてしまう。
その愛らしい微笑みは、王都の至宝と謳われるにふさわしい、無垢な輝きに満ちていた。
だが、彼女を真の聖女たらしめているのは、その可憐な外見以上に、底知れぬ慈悲深さであった。
他者の痛みに対して、彼女は自分自身のそれと同じ、あるいはそれ以上の感度で向き合う。
しかし、その慈悲の正体は、かつてギルバートに向けられたものと同じ、対象を完璧な幸福へと閉じ込めようとする重すぎる情念の変奏に他ならない。
彼女が微笑み、救いの手を差し伸べるたびに、救われた民衆は知らぬ間に彼女の情熱という名の温かな鎖に繋がれていくのであった。




