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ReviveIV~狼と獅子が竜討伐を目指す~

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~ オオカミと獅子、その出会い ~


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 俺たちが暮らすのは、獣人とモンスターが暮らす世界。


 獣人は、植物の放つマナと呼ばれる物質からエネルギーを獲得し、何かを食べる必要すらなくなっていた。


 しかし、全ての獣人はDNAメチル化によりモンスターになる運命にある。




 DNAメチル化っていうのは、ATCGのC、シトシンがメチルシトシンに置き換わってしまう現象のことだ。


 DNAはたんぱく質の設計図だ。


 シトシンがメチルシトシンに置き換われば対応するたんぱく質が生成できなくなってしまう。


 獣人は、メチル化が進行すると、マナからエネルギーを摂取できなくなってしまうんだ。




 そうなってしまったら、ほかの獣人を喰らうほかない。


 そうなってしまった存在こそモンスターと呼ばれるものたちだ。




 俺はモンスターとなり、何年過ぎただろう。


 一人で狩りをする日々はひどく寂しいものだった。




 そんなある日のことである。




 とある獅子獣人に返り討ちにされたのは。




 「殺すのなら殺せ」




 俺は死を覚悟した。




 俺は今まで沢山の獣人を狩って来た。


 今度は、俺が獣人に狩られる番が来た。そう思った。




 しかし、その獅子獣人が放ったのは意外な言葉だった。




 「待って!良かったらぼくの冒険に協力してくれないかい?」




 「はっ?」




 「……だってキミ、なんだかとっても寂しそうだったし、このままぼくに殺されるよりは良いでしょ?」




 「……」




 「ぼくねぇ……黒の森にいるドラゴンのモンスターをどうしても倒さなくちゃならないんだ」




 「復讐か何かか?」




 「どっちかっていうと恩返しかな?」




 獅子獣人は続けた。




 「今から7~8年前になるかな?ぼくは飛行機事故に遭ってね……黒の森に墜落した時、ぼくはそのドラゴンのモンスターに助けられた。


 「そのドラゴンとの別れ際、今度必ずお礼をするからって言ったら、なんて言ったと思う?


 「大人になったらわらわを狩りに来いって言ったんだ」




 「ふふっ」




 「そこっ、笑うとこ?」




 「すまない……だが、そのドラゴンの気持ちもわからなくはない。


 「モンスターは孤独だからな」




 「だからね。ぼくはモンスターを狩る狩人になったんだ」




 「その狩人が、モンスターを見逃して良いのか?」




 「狩人としてはダメダメだけど、ぼくはそうしたいって思った。


 「キミはどことなく、亡くなった親友に似ていたから」




 「そういうことなら、引き受けよう。


 「俺もモンスターとして、そのドラゴンに興味が湧いてきたからな」




 「えっ、良いの?


 「やったー!」




 「そうだ!俺の名前……!


 「俺はガルーっていうんだ!


 「お前は?」




 「ぼくは……ぼくの名前はライハ」




 こうして、俺たちは黒の森へと出発した。




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~ ワシのモンスター ~


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 わたしがモンスターになって数ヶ月。


 かつて鷲鳥人だったわたしは一人孤独に獣人を狩って暮らしていた。




 「ば、化け物」




 化け物と蔑まれようと。




 「これでも喰らえ!」




 獲物から攻撃を喰らおうと。


 私はただ生きたかったのだ。




 私が最後に獲物を狩ってからもうすぐ一週間。




 空腹も空腹。


 もはや我慢の限界。




 そんな時のこと。




 狼と獅子がやって来たのは。


 私は舌なめずりをすると、彼らものとへ忍び寄る。




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~ ケラチン質の矢 ~


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「やけにすんなり進むけど、ここに来たことがあるの?」




「いや、前に図鑑で読んだことがあるだけだ。


「ここには薬草になるような花が沢山自生していて、今までは対処できないとされる毒にもよく効くものが見つかったらしいんだ」




「ヘぇーそうなんだ」




「ライハがそのドラゴンと出会ったのはどの辺だ?」




「もう少し西の方!ここが中間地点くらい」




「そうか!ここが中間地点か」




 そこへ差し掛かった時のことである。




「ガルー!危ない!」




 矢が突然飛んできたのは。




 鷲のモンスターが現れる。




 「くくくっ、わたしに気づくとは中々やるではないか。


 「だが、その羽の形状を変化させたケラチン質の矢を受けて長く生きられるものなどいない。


 「何せ毒が塗ってあるのだから」




 俺はライハの方を見やる。


 ライハの腕には、矢が刺さっていた。




 「ぼ、ぼくは大丈夫!


 「それより!あいつを早くなんとかしないと!」




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~ 図鑑の功名 ~


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 「くっ、この私が……」




 「……な、なんとか倒せたみたいだね……」




 「おい、ライハ……大丈夫なのか?」




 「……ちょっときついかも……?」




 「見せてみろ……ふむ」




 この毒なら図鑑で見たことがある。




 確かこの辺りにもよく咲く花で治療できたはずだ。




 「待ってろ!


 「今解毒できそうな花を探してくるからな」




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~ 空腹なワシとトカゲ ~


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 「……お腹が空いた。


 「私はもうダメなのだろうか?」




 そんなときのこと。




 小屋を見つけたのは。




 「このようなところに小屋?」




 私がドアノブを回すと、その扉は意図も容易く開くのであった。




 「その足音、ヴェルディじゃないな?」




 声の主は蜥蜴人。


 私は舌なめずりをした。




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~ トカゲとヘビ ~


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 「いつもすまないな」




 「いいって、助けてくれたお礼だ」




 俺の名はヴェルディ・キラカトル。




 蜥蜴人のビジリアン・ラガルティッハ・ラケルタにがけから落ちたところを助けられ、俺たちは親友になった。




 けれど、ビリジアンは病気にかかっていて、それを治すには凄く高価な薬が必要だ。




 薬師である俺は、この森で薬草を採取して、売ってそのためのお金を獲得していた。




 この辺りにはこの辺りにしか咲かない珍しい花が沢山自生している。


 けれど、どれも崖の上だったり、滝つぼの側だったり、中々採取に行けないところに生えていることがほとんどだ。




 「はぁ、もっと楽に採れる位置に生えていてくれたらなぁ」




 そう思ったときのこと。




 みれば、狼獣人のモンスターが、この森にしか咲かない、高級な薬草を手にしているではないか。




 俺はペロリと舌なめずりをすると、狼獣人の元へ向かった。




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~ 狼とヘビ ~


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 あったこの花だ!




 そう手に取った瞬間。




 「待ちな!


 「その花は俺がもらうぜ?」




 手を見やる。そこに花はない。


 声の方を振り向けばヘビ獣人。「何するんだ!」




 「この花は高く売れるもんでな!


 「俺様が頂いていくぜ!」




 「この花は俺の大事な友達を助けるのに必要なものなんだ!


 「悪いが取り返させてもらうぜ」




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~ 解毒薬 ~


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 「くっ、仕方ない!


 「この花はお前にやる!」




 「悪いな!ダチの命がかかっているんだ」




 こうして、俺はヘビの獣人から花を取り返し、ライハの元へ急いだ。




 「ライハ、大丈夫か?ライハ!!!」




 俺がライハの元へたどり着くと、彼は気を失っているようだった。




 俺は慌てて、花から抽出した解毒薬をライハに飲ませる。




 ……なんとか助かってくれ!!!




 「んん?」




 しばらくして、ライハの声が聞こえる。




 「ライハ!」




 「あれ?ぼくどうして……?」




 「たまたま図鑑で読んだことがあってな?


 「解毒薬を作って飲ませたんだ」




 「ありがとう!でもまさか出会ったばかりのモンスターに助けられるなんて体験二度もするなんて」




 「……出会ったばかりか、確かにそういえばそうだったな。


 「お前が冒険に誘ってくれて本当に嬉しかった。


 「命がけで俺を助けてくれて本当に嬉しかった。


 「俺は心細かったんだ。


 「だから、お前に生きて欲しかった。


 「理由はそれだけで充分だろ?」




 「そっか!ぼくも頑張らないとね!」




 「一度目はあのドラゴンのことか?」




 「うん!」




 「そのドラゴンってどんなやつなんだ?」




 「ふふっ?気になる?


 「アクセラっていう名前のドラゴンなんだ。


 「あってみたらわかるよ」




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~ ヘビとワシのこと ~


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 「おーい!


 「ビリジアン、いるか?」




 俺が小屋に戻ると血の臭いがした。




 「ふむ?」




 「おっ、お前!!!」




 「この蜥蜴人の知り合いか!?」




 俺はその場のナイフを手に取るが、ビリジアンだったものを食べていた鷲鳥人は反応に遅れる。




 その隙に俺は鷲のモンスターを刺した。




 「すまない、私はただ……生き残りたかっただけなのだ。


 「死ぬのが怖かった……。


 「ただ、それだけなのだ……」




 「おい……嘘だろ……ビリジアン」




 そんな時だった。


 手紙が残されていることに気づいたのは……。




 「ヴェルディへ。


 「突然俺がいなくなって、驚いているだろう。


 「けれど、俺は飢えて苦しんでいる鷲鳥人に命を差し出すことに決めたんだ。


 「俺はもう長くない。


 「どうせ死ぬなら、誰かの助けになってやりたいんだ。


 「それにこのままお前を縛るのは嫌なんだ。


 「わかってくれるか?


 「ヴェルディ……」




 「わかんねぇよ!


 「わかんねぇよ!!!!!」




 俺は自ら突き刺した鷲鳥人を止血する。




 「クソッ! 仕方ねぇ」




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~ 竜と獅子、その出会い ~


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 ぼくが飛行機事故に遭い、あの場所に墜落したとき何日も意識を失っていた。


 そして目を覚ますと見知らぬ部屋にいた。


 そこには、安堵した表情のドラゴンがいて、ぼくを看病してくれていたみたいだった!




 「すまぬ、わらわはこの森に棲まうと恐れられるドラゴンのモンスター、わらわが恐れられるがあまり捜査隊は来そうにない」






 「キミのせいじゃないよ。


 「それより助けてくれてありがとう!


 「ぼくの名前はライハ。


 「キミは?」




 「アクセラ。わらわの名はアクセラじゃ」




 アクセラ。そう名乗るドラゴンはそう微笑み返す。




 その後もアクセラはぼくに優しく接してくれた。




 だから、ぼくが別れ際にお礼をしたいといったとき「大人になったらわらわを狩りに来い」そういわれて本当に驚いた。




 その時は、アクセラの気持ち、まだよくわからなかったけど、今ならちょっとだけわかる気がする。




 アクセラ。元気にしていると良いなぁ。




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~ 決戦直前 ~


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 俺たちは、とうとう目的の場所へとたどり着いた。




 「アクセラはこの辺りにいるはずなんだけど」




 そういうライハ……、っとそこへドスンドスンという足音が近づいて来る。




 「おう!ライハよ!


 「わらわを狩りに来たか!」




 「うん!そのつもりで来た!約束を果たさなくちゃって!


 「けど今は、アクセラ!キミともっと一緒に居たい!


 「一緒についてきてくれた狼のモンスターのおかげでそう思えた!」




 「えっ?俺っ!?」




 「うん!アクセラ!キミはきっと心細かったんだ!


 「だから、ぼくを助けた。違う?」




 「……何を言っているのかわからぬな?


 「さぁ、決戦の時じゃ!


 「言葉はいらぬ!武器を手に取れ!」




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~ 竜の思い ~


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 わらわはこの森で恐れられるドラゴン。


 モンスターになって何十年経ったであろうか。


 獣人を狩って狩って狩りまくって、繋いだ自分の命。




 わらわは死の恐怖へ怯えながらも、ずっとその意味を探し続けていた。


 そんなある日のことじゃ。




 わらわの棲む森に大きな音が轟いたのは。


 向かえばそこに飛行機が落ちていて、生き残りはいないかと探したが、息をしていたのは獅子獣人一匹であった。




 そこで自分の行動に違和感を覚えた。


 なぜ獣人を狩るわらわが生き残りはいないか、などと獣人の心配をしとるのじゃ。


 そこで思い当たった答えは一つしかなかった。




 「わらわは寂しかったのじゃな」




 わらわは、獅子獣人を拾い上げると、この森にある自分の家へと向かった。






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~ ガルーの選択 ~


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 「くっ……。


 「わらわの負けのようじゃな?


 「なぁ、わらわを殺してはくれぬのか?」




 「ねぇ……どうしてそんなに死にたがるの?」




 「わらわはもう充分な時を生きた。


 「そして、沢山の獣人を狩って来た。


 「一人孤独に狩りをして、獣人を一人狩る度に、罪悪感と寂しさに苛まれる。


 「もう充分じゃ。狩られるならお前のような奴に狩られたい」




 「そんなこと言うなよ!


 「俺はコイツのおかげで、再び温かい気持ちになれた!


 「お前もそうだったんだろう?


 「正直になれよ」




 「モンスターと獣人が一緒におるなぞあってはならぬ。


 「さすればライハが獣人から裏切り者とみなされよう……」




 そういわれてハッとした……俺のせいでライハは裏切り者とみなされるかもしれないのか。




 このまま俺と一緒にいたらライハは!




 「平気!ぼくどうしてもガルーともアクセラとももっと一緒に居たい!


 「だから、例え裏切り者扱いされても平気だよ」




 ライハ……の幸せを願うなら、俺はどうするべきなんだ。




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~ ルート1:誓い ~


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 「ライハ、悪いがここでお別れだ!」




 「なっ!?何言ってるのガルーまで!」




 「俺たちモンスターは、獣人を狩らなければ生きていけない!


 「お前はまだ獣人だ!


 「お前には、ほかの獣人と幸せになれる機会が沢山来る」




 「でも、ぼくだっていつかはモンスターになるわけだし……」




 「けど、まだその時じゃない!


 「お前がモンスターになるそのときまで、俺はコイツとここで待つ」




 「……」




 「ライハ?」




 「絶対だよ!ぼくが戻ってくるまで絶対誰にも狩られちゃダメだからね!」




 「あぁ、絶対ここで待ってやる!


 「だからお前も生きていろよ」




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~ ルート2:思い ~


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 「ライハもこう言っている。


 「少しばかり、自分勝手になっても良いじゃないか!


 「獣人もモンスターもいつ死ぬかわからない。


 「だから、せめて今を一緒に生きないか?」




 「……ぬぅ、ライハ、お前は本当にそれで良いのか?」




 「勿論だよ!」




 「……それではその……」




 アクセラはそうもじもじと恥ずかしげにしながら、こういった。




 「よろしく頼む」




 それを聞いたライハの顔に笑顔が咲く。




 「これからもよろしくね」




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~ もう1つの物語 ~


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 「ん?


 「ここは?」




 「鷲、目を覚ましたか?」




 「何故、私を助けた?


 「私はモンスターなのだぞ?」




 「ビリジアンがお前の命を助けたんだ。


 「そうやすやすと死なせるわけにはいかないもんでな」




 モンスターと獣人の物語はここにも。

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