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11-1 本の中身はなんだろな

11-1 本の中身はなんだろな


三弥栄は目を開けて理解する。本の中、本の中で全て描かれている。文字とも絵とも音とも取れるが、ここには全てがある。そして、独りだ。「ひどい、ひどすぎる」と言ったサトル博士は、またここに戻されたと思ったのだと理解する。おそらく、ここは「深淵」だ。


ここは、独りで全てを繋ぎ止めている。ここに閉じ込められたサトル博士とここを観測して真空消滅と一緒にサトル博士にリセマラさせた虎太郎、生体時間転移してサトル博士を逃がした三弥栄。そして「The book」は深淵を内在する物質へと変態して、意識をスイッチする「ルーター」として三弥栄にそのスイッチャーとしての選択を委ねた。


三弥栄は、ルーターである「The book」を経由したことで、自分に出来ることを理解した。ここにエンコードされ、いく層にも連なって蠢く無数バラバラの意識や情報は三弥栄には掴めない。意識をスイッチできるのは、元深淵在住者であるサトルとそのポンコツと、変態した三弥栄。


「そう言うことか」

三弥栄は呟く。そして、サトル博士がページを開くのを待つ。「失敗したな、本を開けたままにしとけばよかった」


一方、サトル博士は三弥栄の身体を手に入れた。

観定団一同がサトル博士(三弥栄の身体)に注目している。本の中にいたサトル博士にはこの実験の説明をしていない。サトル博士は虎太郎を見つけ、「ど、どいうことかな?」と状況を伺う。


虎太郎は「サトル博士ですか?」と聞く。

「う、うん、そうだけど、どういうこと?」

「やった。三弥栄さんの身体に意識が入れ替われたようです。サトル博士、三弥栄さんの身体にいれば、割と自由に話せるのではないですか?」

「う、うん、なんか凄くいい感じだとは思うんだけど、どう言うこと?」

サトル博士は状況を飲み込めないでいる。


虎太郎が説明する「三弥栄さんは、ご自身の身体とν臓器とその本に、自分とサトル博士とサトル博士の別意識ポンコツをそれぞれ入れ替えることができます。今、サトル博士は三弥栄さんの身体に意識があります」


「おおー、おおおー、すごっ、凄いじゃない、自分はまたてっきり、深淵に取り込まれてしまったのかと思ったよ」サトル博士は事態を把握する。


「そう言うの先に言ってよー、もうー」びっくりさせやがって的なリアクションで喜ぶサトル博士。


「ってことは、こっち(本)に三弥栄さんかな?」

そう言ってサトル博士は「The book」のページを開いた。


ページを開くと、文字が語りかけます。

「やばい、やばすぎる」

三弥栄は深淵の恐ろしさを知りビビり散らかしている。


「私も最初はまた深淵に閉じ込められたかと思ったからね、ν臓器見えたんで本の中かもって、気がついてよかったよ」サトル博士は本の中の三弥栄とコミュニケーションをとる。


「そしたら、三弥栄さん、ちょっとお身体借りますね、少し話させてください」


文字が語りかけます。

「なるはやでお願いします」と。


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