10-6 三位
10-6 三位
「サトル博士が、その本の中に…」
虎太郎は考える。
ν臓器にはサトル博士が切り離した、宇宙のリセマラを過ごすためのポンコツ面が意識として入っている。そして今、サトルの博士面は、「The book」の中に。
情報を整理して並べる。
1.生体時間転移の際に変態が起こった。
2.三弥栄の体が2つに別れて、1つにサトル博士の意識を宿した。
3.もう1つ、生体時間転移に添付されて来たのが「The book」
4.その「The book」に2つに別れたサトル博士の意識の内の1つが宿った。
3つの物質と3つの意識が生体時間転移の影響で均衡を再構築している最中とも捉えられる。
そして、虎太郎は1つの仮説を立てる。
「The book」も三弥栄と同じく、時間転移のどさくさに「変態」したのではなかろかと。
虎太郎の科学者の勘がザワつく。
三弥栄の能力、意識の「入れ替わり」はこの三位のバランスで行われるのかも知れない。
そして、三弥栄に伝える。
「三弥栄さん、ちょっとその本に入ってみよっか?」
唐突な申し出に、三弥栄は「ああ、またか」と自分のポジション(実験体)を思い出す。
虎太郎は説明する。
「生体時間転移して来たν臓器含む三弥栄さんと、その本、深淵から脱出して来たサトル博士のポンコツ含めた意識、これら物質と精神意識は相互に何かしら影響している可能性があります。それを確かめたいのです。つまり、貴方の入れ替わりがどう作用するか確かめて見たいってことでごぜます」
「え?待って、どう言うこと?」龍美は分からないと言った後すぐ、「え?待って、つまり、三弥栄、ν臓器とその本にの中にいる、三弥栄とポンコツ、博士の意識は、三者間で入れ替わりできるのかも知れないってこと?」と自分でしっかり状況整理した。
「学校の三者面談みたいねぇ」みちゅえるが学校行事に比喩する。他メンバーはちょっと違うかなと表情を置く。
ハリー堀田が「サトル博士と三弥栄が入れ替われば1番話が早いね、洗いざらい話して貰おうじゃない。説教の準備しとくわ」とポンコツを責めようと態勢して待ち構える。
三弥栄は出来なきゃ皆にガッカリされると言うプレッシャーを感じる。
自分は「The book」に、サトル博士は「自分」に。ポンコツ面との入れ替わりの感覚で良いのだろか?意識を本に移すってのは、些かの不安がある。だって本は生き物ではない物。サトルがぬいぐるみだと思っていた時はそんなの意識してなかったけど、後で臓器と知って、だったらまあ、ありっちゃありかなと思えていたが、本。本は流石に無理だろと括っていた。
「三弥栄、お前、まさかひよってねぇよなぁ?」ハリー堀田が三弥栄を煽る。
「三弥栄さんなら出来ますよ。よく考えて下さい、あなたは、1回素粒子まで分解されてグチョグチョにミックスされてから元に戻って生きているんですよ、大丈夫。何とかなってる」三弥栄の不安を察した龍美が三弥栄の特異を持ち出す。
三弥栄は改めて自分がここへ来る時にどうやって来たかを考えたら、「なんでも出来る」いや、「なんやかんや出来てる」と思い至った。
「かしこまりました。やってみます」と言って三弥栄は目を瞑った。




