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9-6 「3分です」

9-6 「3分です」


サトルの入院する病院。

虎太郎と龍美、三弥栄とν臓器にはポンコツ状態のサトル、面会へとやって来た。


手続きを済ませてナースステーションで病室の位置を確認、虎太郎が前回見舞いに来た場所から病室は移動をしていた。差し入れは受け取ってくれないので後で皆で食べることにした。


病室のベッドに横たわるサトル博士、虎太郎は意識無く繋がれたチューブから注がれる栄養と水分によって命を繋げられている、やせ細ったサトルを見るのが辛く、病室への足は遠のいている。来るのは久しぶりである。


肉体ボディ……来たのか…」

ν臓器にはサトル博士が居る。何かを察して覚醒したようだ。横たわる自分の肉体を見て呟いていた。

「ええ、博士ご自身です。27年が経っています」そう言って虎太郎が隣りの龍美をサトルに紹介する。

「娘の智川龍美です。あの後、無事出産致しまして、こうして育ちました」


「初めまして、智川龍美と申します。出産の時に色々とお世話になったと父から伺いました。ありがとうございます」龍美が恩人であるサトルへ挨拶と感謝をする。


「そうか、無事に…立派に育って……」サトルは声を詰まらせる。「雀さんは?」サトルは人物を尋ねる。「母は数年前に病気で亡くなりました」「そうか、素敵な人だった、お悔やみを申し上げます」サトルは自分の置かれる特殊な状況はさて置き、知ったる人物の訃報に心を痛める。


「サトル博士、意識は大丈夫ですか、何やら事情でサトル博士でいることに制限が掛かって居るように見えます」虎太郎が話を挟む。

「今は安定している、虎太郎の言う通り、私の意識や記憶は維持が難しく著しく曖昧になる」

「今、ご自身の身体に意識を戻すことはできませんか?」虎太郎が今日試したかったことはこれである。

「確かに、伝えなくてはならないことが沢山ある。戻って意識が安定できれば最善だ。試してみたいが、どうすりゃ良いのか…戻って安定するとも限らんぞ、何せ5000億年の負荷が、が、ぁ、兄貴、なんかすごい疲れちまったよ、兄貴」サトルがポンコツへと回帰。

「三弥栄君、どう!?」虎太郎が三弥栄に確認する。

「3分です」

三弥栄が測っていた。サトル博士がサトル博士でいられる時間を。虎太郎のもう1つの試したかったことである。「今日の課題はクリアだ。上出来」と言いながら、あわよくば戻らないかとポンコツをサトル博士の肉体ボディへ乗せてみせたりもする。次の「覚醒」がどのタイミングで訪れるのか、ヒントが欲しかった。今のところ、1日に1回のペース、1度目は激しく揺らし、2度目は自分の肉体を目視させて覚醒した。何かしら本人の琴線に触れる強めの刺激が必要だと推測する。


カップラーメン1つの意識。これに賭けなくてはならない。問いを厳選して最短で必要な答えに辿り着く必要がある。3分間の証人尋問。そう、ハリー堀田は人権問題に強い。

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