表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/56

9-4 三弥栄のはらわた

9-4 三弥栄のはらわた


前代未聞の生命体の発見に至った。

ぬいぐるみのような形をした、言葉を話す存在。しかも特定の人物と遺伝子が完全一致する。


この発見は、進化論から医学、認知科学に至るまで、あらゆる学問とその歴史をひっくり返す出来事である。

だが同時に――これも(真空消滅の観測含む諸々も同様)「誰も知らない、知られちゃいけない」ことにしなくてはならない。


虎太郎は、足りないとされていた三弥栄の毛根を含む毛を複数本抜き取り、サトルの毛根付きの毛と一緒に改めて遺伝子検査に送っていた。そして三弥栄の健康診断は保険なしの全額負担にて高坂院長の所で受診。サトルを検査研究に出すようなことはせず、サトルについて手がかりが掴めないか動いている。


ここまで、サトルと接触したのは、虎太郎、龍美、みちゅえる、ハリー堀田の三弥栄を含む5名。外部機関にその存在は認知されていない。何かあれば「ポンコツAIロボット」で押し通せている。


「三弥栄の遺伝子を持つ未知の生命体」として学術学会やその他の研究機関、国家行政機関に気づかれれば、どう扱われるのか分からなくなり、安全が保証できなくなる可能性がある。このままハリー堀田の言う、「ポンコツ」マシーンであり続ける必要がある。


そして、そのポンコツのままいさせなくてはならない生命体の中に、虎太郎の知る人物が「居る」ようだ。


「虎太郎なのか、おまえ」サトルが虎太郎を思い出す。

「ええ、智川虎太郎です。サトル博士、ご無沙汰しております。元気そうでなによりです」

「嫌味かっ!!貴様っ!!」

「ゆーじろー!!うぇーい!!」

刹那、何やら2人にしか分からないノリを楽しんでいる。サトル博士本人に間違いないようだ。


「サトル博士、何してるんですか、こんな所で。戻る場所が違いますよ」

「すまんが、色々都合があってこうなった。真空消滅を阻止せにゃいかん。ちょっと手を離してもらっていい?」

虎太郎はサトルを机に乗せた。

「まずは、この身体。三弥栄さんの一部として生成された意識の器だ。言わば三弥栄さんのν臓器」

「にゅ、ν臓器……」虎太郎は息を飲む。

「私はここ(臓器)に居候させて貰うことにしたぞ虎太郎」

「そして私の意識は5000億年の負荷にボロけている。だからもう、もう…ちょっと…むり……か…も」そう言ってサトルは虎太郎を「なあ、叔父貴」と叔父貴呼びに戻った。

サトル博士は消え、「ポンコツ」が戻った。


三弥栄は、「これ(サトル)が俺の臓器?」と虎太郎とサトルのやり取りを聞いて慄いている。確かに遺伝子が同じならばそう言っておかしくはない。

「なんでそうなったのか」謎が残る。


虎太郎が話し始める。

「サトル博士は私たちが使用している、真空消滅の観測に至った次元観測器の原型を作った方でごぜます。自分の師。研究中に意識を失ってから現在まで植物状態で病院に入院しています。龍美が生まれる出産の際に色々あって、サトル博士のお陰で妻は病院に間に合い無事出産。出産に立ち会った自分が母子共に無事の報告を入れた時に、サトル博士は意識を失って倒れているのを発見されたのです。観測実験中の出来事でごぜました。27年前のことです」


サトル博士は、まだ生きていて植物状態。ただ、意識は三弥栄のν臓器とされる意識の器に入り込んだと言うことらしい。


「サトル博士に会いに行きましょう」

三弥栄が提案する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ