9-2 ちょーのーりょく
9-2 ちょーのーりょく
三弥栄が企む超能力の私的利用。
真空消滅の観測を発端に生体時間転移まで漕ぎ着けた結果、2人の超能力者がここにいる。
みちゅえるの「MI2」と三弥栄・サトルの「入れ替わり」は超能力なのである。
【MI2】(みちゅえる・インビジブル・インビンシブル)
半霊半物、実体のシルエットを持った透明の精神。みちゅえるはダンスによって、精神を「過去」へ向けて爆ぜ跳ばすことでこの状態に成る。この間、身体はトランス状態で踊り続ける。鑑みるに、三弥栄の企む麻雀やポーカーでのイカサマに使用出来るほどフットワークの軽い超能力ではない。精神を爆ぜ跳ばした先である「過去」の事実確認が可能である。物理的に干渉することはできない。ただ過去を『見てるだけ』である。あの時、誰が何をしたのかわかる。何れにせよやばい能力。
【入れ替わり】
三弥栄とサトルの意識が入れ替わる。三弥栄の意思で簡単にできる。但し、入れ替わった後、三弥栄の身体でサトルが何を仕出かすか不明のリスクがある。これも麻雀やポーカーなどの下世話なイカサマ使用は難しい。囚われた先での入れ替わりは、特定状況下ならば有効に使用できる。実際に三弥栄は警察留置所での取り調べ拘留中にサトルと入れ替わり外部と情報のやり取りを行い、コミュニケーションを取った。何れにせよやばい能力。
普段、憧れ妄想する超能力。漫画アニメゲームに映画に小説に人々が欲して止まない超能力。これが実際に使用出来るとして、個々人の行動が及ぼす他者や環境への「影響」を考えないといけない。それを及ぼす素となる力の度合いと範囲、制御するルール(法)や別の力と拮抗するバランス。
「力」は権力にせよ、個人の持つ特性にせよ、金にせよ、それぞれの大小で及ぼす「影響」が変わってくる。大きな力には大きな力が拮抗する──国家対国家のように。
みちゅえるや三弥栄のような、他が治める術のない、大きな力を超える「超能力」の私的利用は真空消滅と同じような物理定数を変える「崩壊」をもたらす。みちゅえるはそのセンスで身につけ、三弥栄はされるがままにしてたら出来るようになってしまった。
この責任を負わなければ、自分も世界も滅ぼしかねない。「超能力」とはそう言うことである。三弥栄はこれが真空消滅に抗する力であると同時に、世界を崩壊させる力にもなり得ることをまだ自覚していない。
例えるなら現代における原子力を発端とする技術の爆発。既に原子力は爆弾兵器として利用され、世界に歪な均衡を強いている。遺伝子、ナノテクノロジー、量子コンピューター、AIのような定めることのできない「力」が今後「人類」にもたらされようとしているがこれらは全て世界を「崩壊」させ得る「超能力」である。
これらの技術同様、三弥栄とみちゅえるは備わった力の使い方を間違えてはいけないのである。つまり「超能力」は「超リスク」である。
「で、これからどうするつもりなの?」
みちゅえるが改める。




