8-5 ハリー 堀田
8-5 ハリー 堀田
20時00分 ハリー堀田 法律事務所。
龍美と虎太郎はぬいぐるみを連れて、弁護士との打ち合わせに来ている。
弁護士 ハリー 堀田
龍美の大学同期である。
彼女は両親の仕事の都合の為、10代を海外で過ごした帰国子女。母親がイギリス人である。
飛び級しており年齢は龍美の2つ下、24歳。
若くして弁護士資格を有し、独立して事務所を構えている。
龍美と虎太郎はハリーとの個人的な交から、仕事とは別に法律アドバイザーとして日常から頼っていた。
三弥栄案件について意見を伺う。
共有する状況としては、消滅未来云々のことは話さず、三弥栄が取り調べを受けている罪状と、それについての被害届は出されないこと、そして、三弥栄は身元が不明であることを説明して、釈放して身柄を自由にするにはどうすべきか、ハリー堀田に聞いた。
「したらさぁ、虎太郎さんが三弥栄って人の身元を引受けりゃ済むじゃん」
ハリー堀田がズバリ言う。
「問われている罪がちんこ陳列と布やぶりで、しかも室内で陳列隠そうとして布やぶったんでしょ、緊急避難じゃん。被害届出ないなら犯罪要件足らんから、よほど怪しくない限り身元不明でも釈放されっと思うよ。放っておいていいんじゃない?」ハリー堀田が突き放す。
「まあ、早い方がよければ、今から一緒に警察署行って身元引受けの手続きするけど」
ハリー堀田が同行する。
「で、その動くぬいぐるみはなに?」
ハリー堀田が指を差す。
ハリーの事務所に入って以降、ぬいぐるみはちょろちょろと動き、書斎の法律書を勝手に読み込んだりしていた。
指を差されたぬいぐるみは法律書から離れ、ハリー堀田に挨拶をする。「始めまして、三弥栄文楽と申します」
全員がぬいぐるみに向けて強めの視線を送った。
その日、取り調べを終えた三弥栄は留置所に入れられたが先客はいない。留置所に三弥栄1人。他への影響はない。そこで20時の弁護士事務所来訪に合わせて例のアレ(入れ替わり)を行ったのであった。研究所に置いてかれているかもと思ったが、上手いこと行っていた。
再びぬいぐるみ化した三弥栄。今日行われた警察での取り調べの際、中身がぬいぐるみの三弥栄が返答した内容を、警察が怪しんでいると説明し、ハリー堀田に早く手続きをして欲しいと伝えた。
「智川博士、わけをきこうじゃないですか」ハリー堀田は状況を飲み込めず虎太郎に説明を求める。
「長いんで、掻い摘んで説明すると、宇宙ごと消滅した未来から、宇宙の消滅を阻止するために、三弥栄さんと、そのぬいぐるみと、消滅の詳細が書かれたネタバレ本が届きまして、その際、三弥栄さん全裸だったんで警察に連れてかれてしまったんでごぜます。で、その正体不明のぬいぐるみと三弥栄さんは意識を入れ替えることが出来るようなんです。以上です」
「博士、長い方の話を聞こうじゃないですか」ハリー堀田が話に興味を示す。
「とりあえず、移動しながらお話しましょう」虎太郎はそう言って、一行は警察署へと向かった。




