6-3 踊る君
6-3 踊る君
音楽はない。
身体が鳴らすリズムが響く。
ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ
みちゅえるに重なる三弥栄の動きが鳴らすリズムに厚みをもたらす。
4つのポーズはそれぞれ独立しており、印のごとく刻まれていく。
ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ
ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ
ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ
ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ
みちゅえるが踊りながら叫ぶ
「とどぉーっく!!!」
ギアが上がった。
ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ
ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ
ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ
ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ
「三弥栄が抜けたっ!!加速して!!」
みちゅえるがタイミングを伝えて、龍美が外殻のリミッターを解除する。外殻のターボ起動。
三弥栄はみちゅえるのダンスから切り離されて加速する。
ザザザザザザザザザザザザザザザザ
ザーーーーーーーーーーーーーーー
三弥栄が超振動してゆらぐ。
可動範囲が円となり膜を作って発光している。
ダンスが生体時間転移という現象を起こす過程。
肉体は耐えられているのだろうか。無傷では済まないと容易に想像できる。
腹の蛹が裂けて中身が抜けた。
「ガシャーァッ!!」
外殻が破れた蛹と一緒に壁に叩きつけられ床に落ちた。
ダンス開始から5分が経過。蛹の中から三弥栄が消えた。
続けて真の真空が光速で世界を呑み込む。
計算より速く、真空消滅が世界を消した。
誰も気付かないまま、誰もいなくなった。
正確には、虎太郎だけは気付いていた。
知っていながら、後2日と嘘をついた。
気付かないまま消えるのなら、気付かせてはならない。
虎太郎はそう選択したのである。
世界が消え、三弥栄の消息だけが可能性となった。




