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6-1 みちゅえる

6-1 みちゅえる


ドン!ドン!

「だっ!」

ドン!ドン!


床を蹴る低い音と声。

リズムが響き刻まれる。


ドン!ドン!

「だっ!」

ドン!ドン!


空気が震え腹に響く。


「アッフォおおー!!!」


両手を高く突き上げて神経背筋体幹全てを決め通して直立をするみちゅえる。


「整いました」


「さあ、異次元とのダンス(交わり)、おっぱじめましょう」

パチパチと手を叩き、みちゅえるは高らかに笑い、「はぁ〜、おかしい」と言いながら目尻を拭う。


みちゅえるが三弥栄コーティング(蛹)の間、昭和のテレビ番組、芸能人水泳大会の競技最中にワイプで歌い踊るアイドルのように踊り続けていたのは、自身の精神と肉体のテンションを転移に耐えられる状態まで持っていく必要があるから。


そして、この過去を覗くダンスが踊れるようになったのは、いや、踊っていたら過去が見えるようになったと言うべきか。それは、3年前。虎太郎の観測による真空消滅が始まったのと時を同じくする。


過去を覗くと言うことは、歴史の事実を知ると言うこと。知ることはリスク。陰謀論は暴けないから陰謀論であって、暴けば陰謀なのである。それは「誰が」と言う単純な話ではない。世界は様々な立場がそれぞれの状況を崩れながら保守して行く。その過程の中、成功も失敗も隠蔽しなくては持たない立場と仕組みが現れる。それこそ、生きる者と死ぬ者の分岐。社会の中、生命は構造して蠢いている。そもそも、陰謀しなくては生きて行けない。全生命は生きることを企んでいるのだ。誤魔化しながら、もがいて紡ぐ嘘まみれの「真実」がみちゅえるにはばっちり丸見えなのである。真実をただそこにある事実にしてしまう。


「みちゅえる」は放っておけば、歴史の均衡を壊す危険な革命家になり得る存在である。彼の生い立ち生き方がそのダンスを表現せしめた。


虎太郎の「観測」はみちゅえるの「ダンス」の発生も観測した。みちゅえるを見つけて3年研究と準備を行い、天国への階段から使節に成功した三弥栄によって、意図せぬループから外れたことで、マスターオブパペットで踊る生体時間転移まで漕ぎ着けた。されるがままのようで、全てが意識に沿って有機的に結ばれる。


虎太郎、みちゅえる、三弥栄。

破壊と創造と再生が同期されようとしている。

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