3-3 死亡確認
3-3 死亡確認
13時03分 エキナ地下4階 使節管理部内
三弥栄 文楽、消息不明。
これまで41回の使節結果は二つに一つ。
①二分以内に扉を開けて戻ってくる。
②室内で死亡。
ケース42――「消息不明」は初の事態だった。
どう報告すべきか。久慈とH2Bが頭を突き合わせる。
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久慈「さて、この状況、婆さんどう見る?」
H2「どうもこうも、中にいないんだから。これで戻ってきたらプリンセス・テンコーよ」
久慈「じゃ、死亡確定?」
H2「いや、死んでないとは思う。ただ……戻ってこないパターンでしょ」
久慈「なら死亡確定だな。あっち行って帰れないのは、もう“あの世”行ったのと同じだ」
H2「でも、なんかの拍子に戻って来る可能性もあるよね」
久慈「だったら死亡させられん。戻って来た時に“死亡”じゃ手続きが面倒すぎる」
H2「とはいえ、死亡ってことにしないと収束しない。いつまでも仕事引っ張られる」
久慈「……結論。死亡確定で報告。実際は死んでなさそうだけど、やむを得ない」
H2「まあ、こっちから助けに行けないんじゃ仕方ない」
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久慈はタバコをくわえ、肩をすくめる。
「イレギュラーだけど、これ、SS側が上手く行ってる可能性もあるな。もう使節せんでいいかも」
H2「だとしても“事態収束”と判断するのに三年はかかる。死体がないの、どう説明するよ……」
関わる時間が短く、過去42回で生還8名という生存率の低さに慣れきっているのか。
「生きて戻れ」と口にした割に、彼らは三弥栄の行方に執着が薄い。
法律の届かない世界へ向かった三弥栄には、後付けの死因をいくらでも盛れる。
見た目だけは美しい「死」が授与される。デス・ルッキズム。映えだ。
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打ち合わせの結果――
三弥栄 文楽、享年32歳。死亡確定。
その後、SS研究所の高坂教授を交えてデータ解析と状況精査が進められる。
最終的に、「1年後、43回目の使節が発生するかどうか」まで、三弥栄の生死は保留とされた。




