25.皆燼ニ帰スマデ
烈火ノ天アジトへと続く道は想像よりも長く、暗い。
いや、地下にあることは分かっていたから暗いってことだけは想像通りかも知れないがまさか明かりが無いとは思ってもいなかったし、蝋燭まで乗ってて点いてないとも思っていなかった。
階段は本当に長い。
龍田ホール襲撃以外に目立った事件は起こしていなかったし、それ以前までは名前すらも耳に入ってこなかったような小さな犯罪グループのアジトだというのもあって、多少は見くびっていた。それと同時にわざわざこんな長くする必要あったか?という疑念と帰りはこれを上らないといけないのか、という小さな絶望に駆られる。
下る。
下る。
ひたすらに、ただ真っ直ぐに。
下る。
下る。
覚悟を決めて、飛び込んで。
終わりが近づくにつれて違和感を覚える。
焚き火が鳴らすパチパチというようなこの音はなんだ?
この熱気は?
このあまりに濃い魔力の残渣は?
いや、残渣じゃない。これは明らかに本人から溢れ出ている魔力そのものだ。
頭の中、湧き上がるイメージは最悪そのもの。
この溢れ出た魔力はつい最近全く同じものを見た覚えがあった。病院で見られたあの残渣と同じ、禍々しさを隠しきれない魔力。
一体何が起きたらそんなことになる?
駆ける。
駆ける。
駆ける。
例え、その先に広がるのが地獄であろうとも。
扉を開けてすぐに感じたのはたたら場に似た熱気。耳に入ってくるのは火の粉が弾ける音と啜り泣く女の声。目に入ったのはあちこちに移っていく炎と、首の無い大男に縋り付いて泣きじゃくる少女とそれをひたすらに眺めるタキシードとハット帽。
「あぁ…ああぁ…やだ…ぃや…行かないで…わたっ、わたしを…ひとりにしないで…うぅ…」
聴くに耐えない泣き言。
彼女もそこにいる男も確かに悪人で裁かれるべきであることは確かで、いずれはこんな風になっていたのかも知れない。だがしかし、これは…
「やりすぎだろ…」
吐いた息すらも焼けてしまうような光景を目の当たりにして溢れ出た言葉の中で唯一具現化出来たものがこれだった。
息が焼き上がる様を背後に受けていたオッドが振り返る。いや、この場合振り返るというのも憚られる。異常な角度に曲がった腰と首が乾いた表情の仮面を天峯の方へと向いた。
「ああ、君か、初めましてだったかな?ご機嫌よう『不死鳥』天峯警部。ん?まだ警部ではなかったか?すまないね、こちらの記憶違いだ」
異常な人物から出て来るあまりにも丁寧かつ物腰柔らかな口振りに余計に背筋が凍る。腕はダラリと伸びたまま反った上体を腰から胸、頭と順にを持ち上げ、天峯の方へと歩み寄る。
真っ赤に染まった三日月が泣く。
「恐らく君の目当ては私ではないだろうが御生憎、ご覧の有り様でね。私で満足するしかなさそうだ」
大手を広げ、タキシードを翻して「私がやった」とアピールするかの如く語るその声は上気している。
血を浴びた少女の涙は未だ涸れず。
握り込んだ拳が痛む。
「一つ、聞いてもいいか?」
前髪に隠れた双眸から睨まれているのを感じる。
「ああ、構わないとも」
目に見えた軽薄さがひしひしと感じられる。
「お前は…お前の心は痛まないのか」
怒りをここまで露わにすることなど滅多に無い。
「フ、フフッ…」
響き渡る笑い声。これまでの口振りからはとても想像だに付かないような下卑た笑い声。ここが煉獄なら罪人も罪人、下品の品すらもない。
「何を問うかと思えばあまりにくだらない!それでは何か?貴様は皆心を痛め『ごめんなさい』とでも言いながら人を殺し罪を犯していれば『まあましか』とでも納得出来るのか?なんと愚かな男よな!そんなくだらん男によくもまあS級などという称号を預けられたものだ!この国の低俗さが透けて見えるわ!」
ご高説どうも。
そんなにも可笑しいにしろ、可笑しすぎて腹がたったにしろ無表情を貫く仮面はあまりに不揃い。かえってそれさえも不気味に映る。
「貴様の問い、その回答は『全く』だ。痛む心すらない。人を殺め、住処に火を放ち、絶望を味合わせるためだけにわざわざ痛めてやる心など持ち合わせにない!そんなもの人類が散々と行ってきた事だ!先祖も貴様もその未来も同じ様に!それを何を今更、さも当然のように『心は痛まないのか?』だと?笑わせてくれるわ!」
心の所在。
彼にそれはない。
確かに人間は散々とそう言ったことを行なってきた、積み重ねて来た。
だが、時代は変わった。
戦争などとうに終わり今や天下泰平、人殺しが英雄と讃えられ、臆病者が揶揄される時代は過ぎた。
今は力ある者が力無き者を助け、救う世の中だ。その為の警察だ。
「武器を取れ『不死鳥』!貴様のその根性ここで叩き潰してくれるわ!」
鎌を握る手に力が入る。
「それはこっちのセリフだ、オッドマウス!お前に『人間』を叩き込んでやる!」
リボルバー、撃鉄を起こす。
黒き塊が周囲を囲む。
真っ黒、ダークマターがオッドを襲う。これは一つや二つではなく、一つが二つになり、三つになり、やがて無数となる。攻撃して弾いたとして、それがまた新しいダークマターに分かれて攻撃の手を止めない。
回転し続ける鎌がそれらを順々に潰す。潰しても潰しても湧き出る物質を何度も何度も、何度も何度も。
「キリがないな」
ハット帽を軽く抑え、姿勢低くしゃがむ。頭上にてダークマターが衝突し、弾ける。
低い姿勢のまま走行、天峯の足元目掛けて足を払う。
軽く跳んで払う脚を回避、リボルバーが火を吹く。張り巡らされたダークマターの間を抜けて鉛玉はオッドの眉間へと。背後にて衝突して弾けたように見えたダークマターも一つに纏まって、またそこから無数に伸びてくる。
車輪よろしく回転を続ける鎌がそれらの接近を許さない。天峯を両断してやろうとしていた刃はそこらを走り巡り、ダークマターを地に落とし、天へと突き刺す。銃弾、これだけがその全てをすり抜けて彼の仮面に直撃する。しかし、貫くには至らぬどころか仮面の上を滑って軌道を逸らされる。
「何製だよ、お前の仮面」
「トップシークレット。それと、貴様にも同じ質問を返してやろう」
「前に同じ、以上!」
天峯の持つ能力は二つ。
『貯蔵』と『錬金』。
触れた物質を取り込み、いつでも自由に取り出すことができるものと、物質を魔力を元手に全く別の物質へと変貌させるもの。
彼が生み出す物質に制限はなく、質量保存の法則にさえ則っていさえすれば有機物すらも構築することが可能である。彼が『不死鳥』と呼ばれる所以である。
穿つダークマターは既にぐずぐずの床板の更に下の岩盤を、天板の岩盤をも貫いてもう一度オッドを追う。その中に混じって天峯が駆ける。構えたリボルバーは何度も火を吹いては六発を込める。
低姿勢のまま戦火の間を駆けるオッドはするりと数多の追撃の数々を避けては鎌を振るって攻撃を防ぐ。手をタキシードの中へと突っ込んで取り出すのは一枚のトランプカード。さあ、めくる。手品をご覧あれ。
「スペードの、4」
四本の剣が襲うはオッド。
的中させたのは天峯。
オッドの背後には目玉のついたダークマター。イカサマだろこんなの。
「お前の情報が知られてないと思ったか?学生最強くんがちゃんと共有してくれたよ!」
ダークマターに躊躇なく手を突っ込み取り出すのは一振りの両刃の剣。それに魔力を込めて盛大に振るう。
剣を難なく捌ききったオッドがそれに反撃を入れる。剣筋丸見え、剣術は最低限齧った程度だと言うのがはっきりと分かるというのに、全身の毛が逆立つような悪寒が「受けるな」と叫んでいるのも同時に分かってしまう。
剣の側面に低空からの蹴りで返す。剣はあっさりと折れ、切先が何処かへと飛んで刺さる。
「それは残念だな。彼のことは信じていたのに、裏切られてしまうとは…これはもう愛しの彼女を眠らせるだけで済ませそうにはないな」
「ああ、私の預かり知らぬところで大事な後輩も最近失っていたか」と最後まで人を煽ることを忘れないその姿勢にいっそ感嘆してしまいそうになるが、それもすぐに失くなる。
肝臓目掛けて弾丸を吐き出させるがそれもあっさりと躱される。一本のダークマターから生えたおおよそ二十程の棘は届く前にへし折られるか切断される。
どうやら体勢も直せた様で真っ直ぐに立ちはだかる奇術師が一閃。振るうは大鎌、飛び出すは数本の薔薇。薔薇は瞬く間に鋭利なカッターナイフに生まれ変わり、いくつかが天峯によって吸収されいくつかがダークマターもしくは天峯の拳によって破壊される。
それを追って腹部にギラつく刃先を走らせるが薄皮一枚でなんとか抑えられる。地面に一枚カードが落ちる。捲らせないようにと、薄皮など気にせずオッドを足蹴にされやや後退。
(カードが、ない!)
「クラブのA、何もしてなければ私も気付かなかっただろうに」
風圧で捲れただけのカード。それが示すはたった一つ、威風堂々と中央にあしらわられたクローバー。オッドの手に一本の槌が握られる。
振るうハンマーは当たり前に全力で。まさか鎌とハンマーの二刀流で来るとは思ってもいなかったが、目の前で何度も何度も振り落とされては床を割る両手の武器が全てを物語っている。
「あっぶな!何考えてんだお前!」
激しい火花を散らす剣が折れてはまた鋳造されてを繰り返す。ダークマターも隙を狙い澄ましては突き刺してを繰り返す。
「そんな危険な場所に入って来たのは貴様だろう?しっかりと注意しておくんだな」
ダークマターと剣の全てを回転斬りよろしく回転叩きでへし折る。回転が終わったオッドの手から槌が魔力の粒子となって消えていく。代わりにその手にあるのは一枚のカード。
イカサマ手段なら今さっきので潰され、作り物の目玉も潰された。当たる確率は53分の1、期待値低めのギャンブルゲーム。
Bet is not money. His life has been there, still has been shining.
降りるか、乗るか。
駆け巡るのは複雑に見えて別に大したことはやっていない計算式と言葉の数々。
そこから導き出される解は…
「ダイヤの6!」
乗った。
こう見えても運はいいのだ、ここぞと言う時で外すことを除けば運は結構いいのだ。
トランプカードが裏を向く。そこにあるマークは?マークの数は?
賭け金は取り返せるか、それとも奪われるか。
「残念。大外れ」
身体が硬直する。身動きが止まり、ダークマターも一瞬停止する。
捲られたカードの裏には何も無い。
何も無いのだ。
ハートもダイヤもクローバーもスペードも何も。
白紙のカード。そんなことがあってたまるのか。どんなイカサマだ。
「勘違いしているようだが私は《配り手》ではなく、《奇術師》だ。イカサマこそが私の本分、悪くは思うな」
ダークマターは動かせると気づいた時には時既に遅し。大鎌が血肉を貫き、肋骨を断ち人体の空気袋、肺を貫く。
三日月が垂らすは血涙。
はらりと宙を舞うカードにはダイヤの6。
口から血が流れていく。
胸部の筋肉に力を込め、一斉に収縮させる。この強張った筋肉の中から武器を抜くのは困難を極める。ナイフにしとけば良かった、と後悔しながら鎌から手を離し、腹部に拳を。
確かな手応えが手に馴染む。天峯もまた血反吐を吐いて腰を折る。
…ように見えた。拳は実際は当たってなどおらず間に挟まったダークマターに包まれていく。
「チッ!」
迷うことなく手首から先を切り離し、その場を離れる。主人を失った左手はしばらくもしないうちに完全に取り込まれてしまう。
(吸収…アレからも出来たか。やはり受け前提で動くのは美味しく無いな)
血が流れていたはずの両者の口と胸、手首からはとっくに血が止んで、傷口は埋まっているどころか新しい手まで生えてきている始末。
「へぇ、治癒できるんだな。戦犯は出来ない人らばっかなのに、てっきりお前も出来ないもんだと」
轟々と燃え盛る炎の前を対岸の奇術師を見据えながら横切っていく。手にはリボルバー、ダークマターに際限はなし。
「治療魔法などさして誇れるものでもあるまい。その三流以下と私を同列に並べるのは至極憤りを感じるがね」
全てを灰にしてしまおうと叫ぶ咎を横目に歩く。その手にあるのはブラッドムーン。
―それと『揺るがない正義』と『明瞭な巨悪』。
岩盤ごと床が跳ねる。押し上げたのはやはりダークマターで、リボルバーも遮蔽を全て貫いて敵を穿たんとする。
四発。
飛んだ岩盤が三枚におろされて、その裏に何者の所在がないことを明らかにする。
天井から斬撃が落とされる。ダークマターが刃が首にかかる前にそれを防ぎ、抜き身の剣がオッドの肩を貫き、リボルバーが胃腸を灼く。しかし、弾丸は貫通には至らず肉に刺さるよりも前に停止、やはり灼いてはなかった。
六発、リロード。
「チユゥ」
鳴き声のおかしなネズミが一匹、天峯の足元に。激しい魔力の溜めに気付き、即座に潰す。潰した肉片がさらに細かく爆ぜる。なあに、足一本使い物にならなくなったくらい安いものだ。換えなどいくらでもきく。
ボロボロの足は音も立たず修復。足の修復作業中にも攻撃の手は緩めず、まだまだ火花を散らす。
一発。
金糸をすり抜け壁に染み付いた血を散らす。
二発。
壁まで追い込んで頭上の燭台の脚を折る。振り解かれては結局燭台は誰の上にも落ちなかったが。
三発、四発。
ダークマターを使っての跳弾。軌道予測は的中。見事に両断されていなければの話だが。
五発。
抜き身のトランプカードを撃ち破る。トランプカードは役目を果たすよりも早く火に飛び込んで灰となる。
六発。
狙うは一点。奴の首。
放たれた弾丸はいつもの通り、熱を帯びて高速回転をしながら軌跡を描く。軌道上に手が伸びては銃弾を掴んで無力化されてしまう。
リロード。
する暇もなくダークマターは破壊、腹部、脚部に裂傷を抱く。
「う、ああああ!」
血迷ったか。弾丸の入っていない銃身を振りかぶる。まともな武器でもない以上、オッドに大したダメージは与えられないことも足止めにすらなり得ないことも、百も承知だろう。
理解できない。理解できずとも鎌を振るう。
銃声、六発。されど鳴り止まずもう六発。
弾丸は鉛で帯びるのは高熱と魔力。素材は未知物質。
「錬金…!」
残弾数の分かりやすいリボルバーに、分かりやすくリロード姿を見せればどんな熟練者でさえ『錬金』による弾丸製造は頭から抜け落ちやすくなる。
「僕の友達の嘘吐きから習ったんだよ、文句はそいつに言ってくれ」
弾丸は左胸から腹にかけてを穿ち、灼く。強者を殺すのはいつだってくだらない驕りとクソみたいなプライド。要するに油断と矜持だ。
高い防御力が裏目に出る。体内に残った弾丸が一斉に破裂。
「鎧の内側からならお前の脳味噌撃ち抜けるんじゃないかって」
誰かが言った言葉。それは彼に向けて放った言葉ではない。だが確かに思い出す。鎧はあくまで身体の外を守るに過ぎないと。
追撃は剣。ふらふらの脚でも立ち上がり、それをいなす。
治癒は後回し。どうせ後でどうとでもなるのだから。
ハット帽から取り出したのはステッキ。それらを天峯に向けて投擲を繰り返す。
ステッキは着弾前に矢に姿を変え、二の腕を貫く。
矢の雨の中を剣を振りながら走る。傘は無く、降りかかる雨粒を一つ一つ切り伏せながら。
矢の雨を浴びせながら三日月が嗤う。血を噴き出しながら争い合う両者を嘲笑う。
ダークマターが奇術師を穿つ。
よりも早く彼は姿を消した、あまりにも不自然に。
「君さ、困るんだよ」
声が消えてきたのは背後から、その声は柔和で丁寧。
「ちょっとでもあるんじゃないか、とか思われるとこっちとしてもやりづらいわけ」
それに反して行動は悪虐かつ粗暴。人体のポンプを刺し貫く剣は何処から。
「あぁ、でも楽しかったよ。君の甘ったるい思考回路を除けばかなり楽しめた方だ。次回までにはそれ直してきておいてくれたまえ」
剣が抜かれる。血が溢れる。剣が何度も貫いては抜かれてを繰り返す。
ダークマターも何も言うことを聞かない。能力が、魔力が上手く操作できない。
「呪い…かよ」
刺し口から感じるのは彼の魔力と呪い。それと、『勝ち逃げ』。
「安心したまえ、君にはこれからも演者として活躍してもらわないと困るのでね、死ぬことはないさ。言われなくてもどうにかするだろうが、念の為」
「それでは諸君。さよならだ」
首を傾げてこちらを振り向く彼はやはり異常で、不気味さを孕んでいる。
泣いた少女の声も次第に遠のいていく気がした。
天峯がアジトから出てきたのはそれからそう時間も経たないくらいで、出てきてすぐに田白にあれこれと心配をされる。服はボロボロのくせに身体は無事なのだからまた変な戦いをしたのだと悟られてしまった。
「はあ…もういいっすよ。それで、犯人はどうしたんすか?」
若干の諦めと呆れからか、田白は報告へと会話の内容を移す。天峯も天峯で苦い顔をしながら報告へと移る。
「逃げられた。要保護者も居たんだが、それは知らないうちに逃げていってた。中にはおそらく釜高のものと思われる遺体があるが、首だけが無い。てっきり僕はこっちぎてっきり捕まえてるもんだと」
報告を受けた警備隊も田白も全員が同じ顔をする。
その顔にはまさしく「知らない」と書いてある。
「逃げた…?裏口があったんすかね。少なくともここは天峯さん以外誰も入ってませんし出てきてませんよ」
あり得ない。
確かに彼は見たのだ、あの奇術師が自らが入ってきた扉に手をかけて自らが下ってきた階段を上る姿をこの目で、確かに。
それが見てない?何が起きている。
カチ…カチ…カチ…カチ…
秒毎に音を刻むのは金色の懐中時計。龍田ホールにて奪い攫い、あのアジトの者どもを手玉にとって騙し取ったもの。
既に遺物としては壊れており機能しないと思われていたそれは未だ死んでなどおらず、今もこうして確かに機能している。
『時計仕掛けの心臓』
それが持つ能力は『時間停止』。その能力が故に使用者には莫大な魔力を要求されるが、オッドからしてみさえすれば大したことではない。なにせ魔力詰まりを起こしていたのを、自力で押し流してしまうほどに有り余っているのだから。
今宵も彼は嘲り笑うのだ。
…笑い方はとうの昔に忘れてしまったのに。




