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虚の機繰  作者: 浮海海月
新人戦編
15/17

15.屍達の舞踏会序幕−拾壱−

 兎が跳ねる理由。

 それは強大な肉体を持つ肉食動物は動きがノロい、跳躍し短距離を瞬時に駆け抜けることで天敵の牙を潜り抜けるため。

 決して目の前の天敵と戦うためではない。

 それが例え、月兎であったとしても―


 透馬の前に立ち塞がる男は両の手に手斧を持ち、それなりに鍛えられた体躯は透馬の一回り大きく見える。

 透馬は174cmで細身ではあるが筋肉はある。

 それより一回り大きい身体は兎にとって恐怖たり得ることだ。ただの猫が兎をも狩るように。


 迷わず発砲した。

 透馬の自己防衛本能から銃身を抜き出し即座にトリガーを引いた。

 男は手斧を振り、分厚い鋼の刀身を使い銃弾を弾く。

「オイオイオイ!出会い頭にすぐ発砲たぁ教育受けてんじゃねーか!ママの顔が見て見えな!オイ!」

 黒く目を塗り潰した男が叫び改めて透馬に向かう。

 声と顔があまりにミスマッチで違和感ばかりが押し寄せる。いや、何もスキンヘッドの頭と顔の組み合わせが面白いとかそういう訳じゃなくて

 再度発砲。

 二丁拳銃は上下の異なる箇所に狙いを定め、炸裂させる。一定の距離を保ち続けながら火を吹かせ続ける。

 撃鉄が空撃ちを始め、銃は鉛を吐き出すことがなくなる。

「チッ…リロード」

 手斧を振り回す男にとって、そんなことはお構いなしだ。リロードをするような隙を見せるのが悪い。

 男は搦手も用意されていないままに透馬に向かい走る。

(間に合わない…!)

 振り上げられた斧が透馬の左肩から右の脇腹に抜ける軌道で振り下ろされる。

「オイオイ!避けんじゃねえよ!キレイにバラせねえだろうが!」

『月兎』を使い頭上高く跳躍。

「よく言うな…!」

 左足を負傷した。

 あの男の斬撃を躱しきれず、弁慶に二本の野太い切り傷。

 だが、やることは変わらない。

 落下に加えて回転の勢いを加えた蹴りを男の脳天に落とす。

 手斧を使って防御を図る。魔力で覆っている脚と手斧が衝突し両者共に退く。

「オマエ意外とやるな!なんて名前だ!」

 後退した男は顔を上げてすぐに言い放つ。その目はキラキラと輝いている。黒く塗り潰したくせに。

「悪いがママから不審者には名乗るなって教わってるんでな」

 意趣返しをくらって鳩が豆鉄砲を食ったような表情に変わるがそれもすぐにさっきまでの表情に戻った。

「オレはジェフリー・ゲイシー。趣味は皮を剥ぐこと。能力は『良心的屠殺(スタニング)』。自己紹介終了。これで不審者じゃなくなっただろ!」

 だから名乗れ。

 そう言うジェフリーの態度を察して透馬が諦めたように口を開く。

「…切頭透馬」

「そうか!トーマ!オレは弱いヤツが好きだ!大好きだ!だからお前が好きだ!」

 すなわち透馬が弱いと。こう言われては透馬にも思うところがある。

 言ってくれるな本当。

「そうかよ。生憎、俺はお前みたいな奴は嫌いだよ」

 姿勢を下げ抜き身の二丁拳銃から火を吹かせる。

 弾丸はジェフリーの頭を狙う。

 それを弾くため手斧を振る。

 振り抜き切った斧の先の景色に彼はいない。

「どこだ!」

 背後から両足の跳び蹴り。

 蹴るというより、背中で『跳ぶ』。

 こうなると足場となった男は通常の六倍は吹っ飛んでいく。

 着地をしたならば吹き飛ばしたジェフリー目掛けて追い討ちの鉛玉…に見せかけたゴム弾。

 それらを押し除けジェフリーは歩みを進める。

(止まってはくれないか…)

 片方の弾が切れたなら片方で射撃をしながらすぐさまリロード。

 弾丸の降り注ぐ最中にも関わらず猪突猛進を貫くジェフリーから距離を保つように後退を続ける。

 続ける。

 射撃を止めるな。

 足を止めるな。

 止めればすぐに手斧が迫る。

 背中に何かがぶつかる。木、いや、崖。

(マズイ…!)

 そうだ。足が止まれば手斧が…

 迫る。

 左右の大振り。逃げ道は二つに一つ。上か?下か?

 兎なら飛び跳ねるか?いや、掻い潜るか?

(いや、右!)

 左よりも僅かに軌道が上にズレている。きっと相手も上か下に対策を踏むだろう。

 掻い潜るなら股の下じゃない、意表の裏だ。

 足を広げ、右腕の下に滑らせるように身体を運ぶ。頭を、背を低く、後ろ足で地面を蹴る。

「イッ…!」

 しくじった。

 地面を蹴った反動で足が上がった。左脚を手斧が掠める。鈍い痛みが脚に加わる。

「…ッウラァ!」

 右脚を軸に切り傷のついた左脚で自分の倍近い男のドテッ腹に鞭打つ蹴りを入れる。

「良い蹴りだな!だがオレはそんなもん望んじゃいない!」

 透馬の蹴りを受け六メートル飛ぶ。それで済まされたところが癪に障るが。

「それならもっと痛そうな顔をしてもらっても良いか?あまり実感が湧かないもんでな」

「イヤだね!オマエは強くなるな!弱いままでいろ!」

「それは俺が嫌だな…」

 跳躍する。

 宙からの射撃をする。

 撃ち下ろし文字通り、弾丸の雨を降らせ注いでやる。

「…は?」

 跳んでない。

 いや、跳んだはずだ、ちゃんと。足は?

 左脚が脱力し切っている。さっきまでしっかりと身体を支えていたのに。

 能力か魔法か。あいつは能力持ち。ならばこれは能力か。

 いや、そんなことを考えてる場合か?

 今にも斧が自分に迫ってきているこの時に?

 そうだ。頭を回している暇があるなら身体を動かせ。

 右脚は動かせる。両手は使える。なんでも使え。一先ず、今来る刃をどうにかしろ。

 身体を転がして右脚で左腕の手斧を弾く。この次は右脚で地面を蹴り後退する。

 両足で着地。左足も使える。

(効果はそんなに長くはないのか?それとも純粋に魔力温存のためか?)

 判断に迷っても身体は止めず。ゴム弾は撃ち続ける。

「オイオイ!あまりイイ動きをするなよ!もっとオレに弱いモンイジメをさせてくれよ!」

「断る!」

 発砲。

 左の肩にゴム弾を、狙いすまして。

 ゴム弾の来る方から反対方向へ身体を翻し透馬に突っ込むジェフリーの右の(くるぶし)に照準を向け火を吹かせる。

 しかし、それもただ歩みを進めるため足を上げただけで当たることもなく地面に吸い込まれていく。

(なんでわざわざそんな足上げるんだよ!)

 下。逆風からの手斧の振り上げ。

 左に跳んで難なく回避する透馬に手斧を投擲する。

 躱しきれない。左の脇腹を重く鈍い斧が貫き、嗚咽が漏れる。

(しまった…!)

 勢いのついた右ストレートが頰に直撃。畳み掛けに左フック、右拳槌、中段に回し蹴り。仕上げに突き刺さる手斧をさらに深く突き刺すように手斧を叩きつける。仕上げに刺した手斧を回収。

 身動ぎ一つ取れない透馬をここぞとばかりに痛ぶる。今の彼はジェフリーの望む『圧倒的な弱者』。正しく唯の兎に如かず。



良心的屠殺(スタニング)

 家畜の屠殺の際、電気を流すことで身動ぎ一つ取れないよう固定し痛みを感じる暇もなく()()する。

 発動条件は処理に使用する武器が触れること。効果は持続せず、数秒で切れる。

 その数秒で生を歩み続けるか、肉製品に変わるかが決まる。



(敵の能力はおそらく『一定の時間動きを止める』系統のもの。発動時間はおよそ三秒。屠殺にしては長いな)

 しかし、一番厄介なのは発動条件。

 武器が体に触れること、つまりは一度攻撃を喰らえばなし崩しに攻撃がなされる。可能なら全ての攻撃を避ける必要があるとなると戦闘の難易度がグンと跳ね上がる。

「面倒だな…」

 先の連撃を受け、透馬は一時退却。崖の上まで跳躍しこの場を凌ぐ。

 このまま避難所に行かない理由は自らの親友である紅葉(負傷済み)が気掛かりとなっているから。

 紅葉の棄権を知らせる通知が鳴っていない。近くで件の侵入者と友が死闘を繰り広げている事にも気づかずに眠りこくっているのではあるまいか、と。

 安全確保の為にも奴の確保…とまではいかなくともせめてここから距離を離しておきたい。そして出来れば応援を呼びたい。手っ取り早いのは猿川だが連絡は取れない。まったく肝心なときに何をしているんだと思う心を鎮めて冷静に思考を巡らせる。

 目下には手斧を崖に刺して登りくる男の姿があった。


 何をどうしたら崖をあんな無茶な方法で登ろうと思えるのか理解に及ばないが、真上から撃ち下ろしても「イテェなちくしょう!」で済まされる事だけはしっかりと理解した。

「どんな身体してるんだよお前…」

 特に指。秒速400mのゴム弾当たったらイテェ!じゃ済まないだろ。手離して然るべきだろ。そして落ちて然るべきだろ。なに登頂しちゃってんだよ。

「オマエと同じ人間の体だぞ?つーかよくもバンバン撃ってくれたな!クライミング中の人を撃っちゃいけないってママから教わらなかったのか?!」

「そんなこと教える馬鹿な母親がいてたまるかよ!」

 スライディングで接近。

 真横に振られる腕の下を通り抜け、ジェフリーの直前、足先30センチの位置で手で地面を押しガラ空きの顎にアッパーの蹴り。

 ジェフリーの背中が仰け反る。グラグラと一歩、二歩と後退する。

 起き上がり、グラつくジェフリーの後ろに今さっき登ってきたばかりの崖がある事を確認。速攻でこの後の行動を決定。

 まずはバランスを取るためかそれとも適当に振ってるだけかの斧を躱わし、直後にワンツーと左右のフックをキメる。

 さらに後退する。一歩、また一歩、フリーフォールへと歩みを進める。腕をぶんぶんと振り回してバランスを取り戻そうと試みる。

 が、それを好機と見て重心移動を使った肘鉄を寸胴に叩き込む。

 こうなれば遂に足は崖っぷちに運ばれる。

 腕は全開で回す。落ちまいと全開で。仰け反る体を前方に押し出す。後退すれば頭から真っ逆さま。

 …なんとかしやがった。

「っと、あぶねー!落っこちるとこだった…ぜ…」

 そうは問屋が許さない。

「お前は地べたがお似合いだよ!」

 月兎は跳ねる場所を選ばない。例えそれが屠殺機の上でもだ。

 ダメ押し、最早オーバーキルレベルの勢いで崖から飛び出して行く。

 いくらか横に飛べばお次は下だ。頭から順に大地に抱かれに行く。

 影がかかる。足元に広がる青空に一筋の影。

 鳥か?

 いやホールの中に野生生物はいない

 変身した人か?

 それなら随分と前に撃沈したよ

 魔法?

 誰が?どんな意図で?


 影は人。

 狙い澄ますKP85の白銀(白銀)の口先が月光の中、妖しく輝く。

 吐き出すは9mm口径の鉛玉と火薬の炎。

 つまらないモデルガン(玩具)を投げ捨て、実銃(勇気)を抱えた少年が飛び込むは男の胸の中。

 先んじて放たれた鉛玉はジェフリーの二の腕と胸に命中はすれども貫くには至らず、青タンつけて仕舞いだ。

 近づく少年に対抗しようと手斧を振り回せど、止まらず少年は男の胸の上に座り込み脚を絡ませ腕の動きを封じる。

 冷たい口先が額に二つ口付けを落とす。

 口付けを落としたそれは死を告げる冷酷な金属音を奏で、男を地獄へと突き堕とす炎を込める。

「『魔力硬化』。鎧を着るイメージで魔力を纏わせ技の威力と体の防御力を同時に高める基礎的な魔力操作の一つ」

 落下は続けながらも少年は語る口を止めることはない。

「俺のちっぽけな魔力としょうもないゴム弾で鎧が貫ける訳がないもんな。実弾でも大した意味もないのも予想通りだ」

 そう、意味はない。鋼の鎧にブリキの鎧で挑んだとて勝敗は見えているのだから。

「そんな鎧とは無関係に攻撃するなら『落下』か、『内部破壊』の二つに絞られる。だが、落下で死ぬかそれとも生きるかの二つに一つに任せるのはどうかと思ってな」

 あと一つ少年に足りないのは引き金を引く(人を殺める)覚悟。

「そこで考えたんだ。ゼロ距離からの射撃ならどうなるんだろうって」

「オイ…オイオイオイ!ナニ考えてやがるテメェ?!」

 焦るな。暴れるな。狙いが外れる。

「鎧の内側からならお前の脳味噌撃ち抜けるんじゃないかって」

「このクソガキ!イかれてやがんのか?!その手をすぐにどけろ!殺されたくないんだったらな!」

 クソはお前だ。俺みたいなイかれたガキに生死握られてるんだからな。

「知ったことか」

 冷酷な宣告。それはカウントダウンの始まりの合図。

「Three…」

「やめろ…!」

 引き金(トリガー)に指が掛かる

「Two…」

「聴こえねぇのか!オイ!やめろっつってんだ!」

 撃鉄を引く

「One…!」

「ブッ殺すぞ!このザコガキ!」

 残念

 覚悟がやってくるのが先だ

「Fire!」

 白銀の銃口が炎と鉛を吐き出す。撃鉄が激しく衝突し、けたたましい銃声が鳴り響く。

 鉛はジェフリーの頭蓋を貫き、血と頭の中身をぶち撒ける。

 亡骸は虚しく地に還り、月兎は地に降り立つ。

 タワークレーンが折れたのは祝福か何か。

「で、誰が()()()だって?」

 兎が狩られる側だと決めたのはいつの時代の誰だったか。最早誰も覚えてはいない。


 ならば、そんな常識など覆しても構わないだろう。




 悠々と着地し、音沙汰ない紅葉の方へと足を運ぶ。純粋に不安だ。何をしているのか、何で棄権しないのか。

 その真相を探るため透馬は深い森の奥地へと向かった。


「…随分と元気そうじゃねーか」

 案の定紅葉は移動は全くしておらず、それどころか大口を開けて眠りこくっていた。

 …呆れてしばらく声が出せなかった彼がようやく絞り出した第一声がアレだ。

 正直だいぶマイルドに包んだ。だって近くに恐竜が控えているんだから。

「別に取って食う気はねーよ。こんなぐーすか寝てたら危ないし、見殺しにすんのも嫌だから見張ってたんだ」

 存外にシックルは人のことを気にかけて行動してたらしい。

 …いや別に人の気も知らずにレム睡眠してるホンモノの大間抜けとは比べ物にならないとかは思ってない。断じて。うん。

「さっきの、お前か?」

 シックルが口を開いた。さっきのとは恐らくジェフリーが落下した時に鳴らした大きな音のことだろう。

「あぁ、俺が殺った。口聞けなくなったから情報は何も得られなかったけどな。俺たちの安全が最優先だろ」

 そうか、と小さな頷きが帰ってきてすぐにシックルは立ち上がり「んで、コイツどうやったら起きるんだ?」と問いただす。

(…起こそうとはしたんだな)

 そして、コイツは起きなかったんだな、と。

「ああ、それなら…」

 ぬるりとした感覚が背筋を伝う。これを感じたのはどうやら透馬だけではなくシックルもまた同じだったようで顔から血の気が引いている。

 …起きた。

「トーマ?今の、なんだ?」

 いや、驚くべきはそこじゃない。

 さっきまで熟睡してたやつがはっきりと覚醒した。しかも、経験の浅い紅葉がだ。寝ている時まで感覚を研ぎ澄ませる訳でもない紅葉がだ。

 それほど明瞭に溢れかえる殺気、気配。

 三人の本能が告げる。

 これはやばい


 木々の間から顔を覗かせたのはジェフリーだった。

「…なんで…?」

 驚嘆を漏らすのは透馬。当たり前だ。この男はさっき自分の手で脳味噌を撃ち抜いて、地面に落としつけてやったんだから。

「ああオイ!見つけたぞ!このガキだ!オレを殺したナマイキなクソガキ!」

 喧しく叫ぶ男は誰かに向けて語りかけているようだった。

 ふとジェフリーが叫んだ方へと目を向けてやればもう一人高背の男が姿を現す。

 黒のタキシードに金の翼のバッジを付けたハット帽。顔を覆うのは深紅と黒ハーフアンドハーフの笑顔の仮面。

 ―奇術師だ。

 冷たい空気を纏う奇術師は存在感だけでこの場を威圧し三人の行動を封じる。

「そうか、君か。私のところの者が世話になったようだね」

 奇術師は乾いた手の平の音を鳴らしながら透馬にのらりくらり近づいて行く。

「オマエのところじゃない!」とか言ってるが気にもならなかった。

「君は賞賛に値する。これは頭は弱いが腕っぷしは立つ。今の君の実力を考えたら敗北するのが真っ当だろう」

 奇術師はまだ歩みを止めない。

 透馬の手がKP85に添えられる。

「だがしかし、だ。困るんだ。二人も同時にやられてくれちゃ私の仕事が増える上に予定がズレる。いや何、特段ズレても困らないんだがね…」

「…私は仕事が嫌いでね」

 抜き出すは大鎌。狙うは透馬の首。

 透馬が拳銃を抜くよりも早く訪れるそれがヒヤリと肌に触れる。

「ガアアアアア!!」

 メガラプトルが雄叫びを上げる。変わり身の際に大鎌を弾き透馬を守る。

 誰かの手が透馬の左手に添えられる。

「逃げるぞ!トーマ!」

 その手は紅葉のものだった。

 起き抜けの彼は状況もよく飲み込めていないまま、このままでは皆死ぬ、と直感が働きすぐさま動こうとしていた。

 最良の選択は逃亡。戦闘などクソ喰らえだ。

 なのに身体が動かない。言うことを聞いてくれない。『良心的屠殺(スタニング)』か?まだ発動条件は満たしてないはずなのに。おかしい。脚に力が入らない。どうしてオレは尻餅ついて座り込んでるんだ?モミジが何か言ってる。よく聞こえないな。どうして?

 ああ、そうか。


「…こわい…」


「クソッ!」

 再度薙ぐように振るわれる大鎌を打刀でどうにか止める。シックルもまたジェフリーが投げた手斧を踏みつけにして防ぐ。

 恐竜が唸りを上げ、屠殺鬼と(いが)み合う。

 雛鳥は愚かにも梟と目を合わせる。

「退屈はさせないで貰いたいね」

「…努力するよ」

神河紅葉:魔力操作 D

     能力   虚無

     ランク  なし

     所持ポイント 棄権


切頭透馬:魔力操作 D

     能力   『月兎』

     ランク  E 

     所持ポイント 203点


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