<9> 運
人生には運がついて回る・・と言われている。ただ、その運は見えないだけに本人は気づかない。運はその人の行いを密かに見つめ、『馬鹿な人だな…』とか、『ほう、お見事っ!…』、『ったくっ! 困った人だ…』くらいの気分で、ニコニコと哂っているのかも知れません。
白浜は、どうしたものか? と買い物で悩んでいた。Aにすれば残金が少なくなる。かといって、Bにすれば残金が余り過ぎるのだ。少なければ妻に「まっ! いいわ…」くらいのことを言われ、そのまま自分の小遣いに出来るという算段が成立する。だがBを買って「あらっ!? 安かったのね。有難う…」と言われる気分も悪くはない。孰れにしても、結果は小さなことだったが、白浜はどういう訳か悩んでいたのである。そんな白浜を運は密かに観察していた。
『ははは…この人は気真面目だなっ! どぉ~~でもいいやと思や、悩むこともなかろうに…』
運はそう思いながら白浜の後ろをスゥ~っと横切りクルクルッ! と、白浜の周りを数回、回転した。
「まっ! どうでもいいかっ!」
そう呟くと、白浜は買わずに通り過ぎた。いいのがなかったんだ…くらいのことを言って渡された金は妻に返そうと判断をやめたのである。
人生は運によって、良くも悪くもなるようです。ただ、運は人の行動次第でよく変化するそうです。^^
完