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<79> ダメ元

 人生を歩む上で重要なのはダメ元の心構えだ。ダメ元とは、ダメになったとしても元々だ…という意味である。どうせダメなんだろうが、1%でも可能性があるなら、やってやろうじゃないかっ! というような気力でアグレッシブにコトに臨むというポジティブ思考を意味します。

 医者の野坂は、どのような場合でもポジティブに患者に接する名医だった。野坂を名医にしたのは院長の浅山だった。当然、浅山は名医だっだが、野坂の指導医でもあった。彼の元、多くの患者が命を救われた。

「ダメ元だ…。とにかくやろうじゃないか、野坂君っ!」

「はい、先生っ!」

 手術は7:00に開始された。

「ペアンっ!」

 女性看護師の村木がサッと止血鉗子を浅山に手渡す。しばらくの間、浅山による執刀が続いた。

「…やはり、無理か…」

「先生、僕にやらせて下さいっ!」

 諦めかけた浅山に、助手の野坂が強く言い切った。

「いいだろう、ダメ元だからな…」

 浅山は静かに呟き、手術を野坂に任せた。野坂は長時間、ゴチャゴチャと続け、ついにやり遂げた。^^ ダメ元がダメにならず患者は命を繋ぎ止めたのである。

「なかなかやるじゃないか、野坂君っ! もう、私は必要ないようだな…」

「いいえ、先生。まだまだ…」

 こうして二人のダメ元治療は続いていったのである。

 こんなお医者さんばかりならいいんですが…。一に努力、二に努力、三四がなくて五に努力、をお願い致します。^^


                  完

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