表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/90

<77> 仕事を追う

 人生は仕事を追う心構えが大事と言われる。今日出来ることを明日に延ばすなっ! と、私も若い頃、言われたものだが、そうすることは仕事を追うことになるのだろう。だが、年寄りは程々にしてもらいたいな…とは本音で思える。少しは(いた)われよっ! という意味も含まれます。^^

 とある夏の盛りの町役場である。疣川(いぼかわ)は汗をびっしょり掻きながら仕事に精を出していた。上司で課長の黒子(ほくろ)に、仕事を追えっ! と厳しく言われていたこともある。どちらかといえば仕事に追われがちな疣川だったから、そう言われるのもやむを得なかったのかも知れない。一方、同じ課の皹田(ひびた)は遅いようで仕事を追うタイプだったから黒子は厳しく言わなかった。

「ほうっ! 出来てるじゃないか…。ご苦労さんっ!」

 笑顔で黒子にそう言われれば、悪い気はしない。皹田は益々、やる気が出て励むようになった。皹田と疣川の差は歴然で、皹田は重要案件を任されるようになり、翌年の春、課長補佐に昇格した。ところが疣川も妙なことに別の課の課長補佐に昇格したのである。他の職員の誰が考えても妙な話だったが、その裏には黒子の職員能力を見通す目が光っていた。疣川も皹田も仕事の遅い早いを除いては他職員より処理能力に長けていたのである。

「間違いはないようだな…。ご苦労さんっ!」

 このように仕事を追うよう命じるのも大事ですが、仕事が的確に間違いなく(こな)せる職員を見定めるのも管理する側の大事な能力の一つなんですね。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ