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<75> 完成

 人生が完成するということは、まずない。人々はこの世を去りゆく前に、もう思い残すことはない…などと見守る人に呟き、ガクッ! と息絶えるが、それは思い残す心配事がなくなっただけで、自分の人生が完成したという訳ではないのです。^^

 とある春の心地よい田舎の草原である。年老いた鳥岡は散歩の途中、笹笛を鳴らそう…と、笹の葉を唇に当てた。そよ風が流れて気分は最高潮である。柔らかい日射しに快晴の青空、なんともいい気分だ。人生を振り返れば、あの頃・・そしてあの頃と、走馬灯のように思い出が脳裏に巡る。ピィ~ピィ~と笹笛を吹けば、益々、長閑な気分になる。草の上に腰を下ろすうちに鳥岡は眠くなっていった。気づけば数時間が立っていた。自分の人生もこんなものだったな…と鳥岡は思った。ウトウト眠っているうちに数十年が何事もなく流れ去っていた。だがまあ、よくよく考えれば、完成はしなかったが何事もなくこの年まで生きてきたのである。そう思えば、完成しない人生も悪くない…と鳥岡は思いながら草笛をピィ~ピィ~と鳴らした。

 鳥岡さん、完成しなくても平穏無事に人生を過ごせればそれが一番だと思います。そもそも、人生完成の最終地点に到着するのは、誰にも無理なのではないでしょうか。^^


                  完

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