<74> 我慢
人生は我慢するか我慢しないかの二択に分かたれる。ジィ~~っと我慢して、さあ食べよう…と思った途端、電話が入って食べられなくなるなんてこともあります。^^
禿川は何事にも我慢する男だった。我慢の先には必ずいいことが待っている…と信じて六十年、老いぼれた禿川は、いっこうにいいことが来ない…と、疑問を抱くようになっていた。勤めで我慢、食べることも我慢、生活も我慢・・と、我慢づくしで生きてきた人生を、禿川はしみじみと振り返った。禿川には何も残されていなかった。
そんなある日の夜、禿川は夢を見た。
『こんちわっ! 禿川さん、私がお待ちかねのいいことです! 私が来たからには、もう我慢しなくてもいいですよっ!』
『ど、どうも…』
そこで夢は覚めた。朝が白々と明けようとしていた。不思議なことに、その日から禿川の生活は我慢しなくてもいいことばかりが続くようになった。夢は正夢だったのである。めでたし、めでたし…。^^
我慢を続ければ禿川さんのように、いいことばかりが起こるか? は疑問ですが、自分自身が鍛えられるということだけは疑う余地がありません。^^
完




