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<72>出足払い

 柔道には出足払いという(わざ)がある。オリンピックが賑やかに開催されているが、昨日、その技で金メダルを獲得した選手がいた。選手名は贔屓(ひいき)めくので避けるが、剛腕で最強の相手選手を、いとも簡単に出足払いで仕留めたのである。人生でもそうだが、大きくて強い裏には小ささに弱いという隠れた弱い一面も潜んでいる。強さに対し、強さで臨もうとすれば、かなりの力量を必要とし、危険も覚悟しなければならないが、この隠された小さなエアーポケットのような弱点を突けば、相手は割合と(もろ)く崩れ去るのである。力量には力量で臨まず、柔道技の出足払いのような手法で人生を勝利することも可能ということです。余談ながら、指導三回で勝負がつくという最近の国際ルールは、どう考えても納得出来ません。選手二人の技の優劣で、ではなく、当事者でない審判団の判断で勝敗が決着するというのは、いかがなものか? と偉そうに思う訳です。一本、技有り、有効、効果とかだった前のルールの方が…。^^

 オリンピックの柔道競技会場である。決勝の試合が行われている。ミミーブタ選手とギュウターン選手の一戦である。剛腕で決勝まで勝ち進んできたミミーブタ選手は誰の目にも金メダルは間違いない…と映っていた。その理由は、相手のギュウターン選手が、よくもまあ決勝まで勝ち進めたな?… と思えるひ弱な選手だったからである。ところが、試合はやってみないと分からない。決勝の本戦四分直後に奇跡が起きた。ミミーブタ選手が油断して何げなく組み合って出た一瞬を突き、ギュウターン選手は相手の片足を軽く払った。大柄のミミーブタ選手は足を払われ、呆気なく床へ崩れ去ったのである。出足払いの技有りが見事に決まった瞬間だった。かくして数分後、ギュウターン選手は金メダルを確定させたのである。

 人生に油断は禁物で、出足払いで倒される危険性もあり、強者が必ずしも勝つとは限らないということでしょうか。^^


                  完

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