<7> ああして、こうして…
最近の社会は油断がならないから、事前にああして、こうして…と考えておかないと、一日仕事になってしまう。^^ ああして、こうして…と考えておいても、ああも、こうもいかない事態もよく起こる。それだけ社会が鋭敏に角張ってきているということでしょう。^^
町役場に勤める加糖はド派手好きの青年、いやすでに中年にさしかかろうとしているいてもいなくても大して影響が出るとは思えない万年平の職員だった。
今朝も疲れからか、自分のデスクでウトウトしていた。さて、今日は、ああして、こうして…と仕事の段取りを考えているうちに春の陽気に誘われウトウトと微睡みかけたのである。そこへ議会事務局長の園分が通りかからなくてもいいのに通りかかった。
「…オッホン!!」
園分は、ウトウトしかけた加糖に気づかなくてもいいのに気づき、大きめの咳ばらいを一つした。それでも加糖は気づくでもなく首をコックリコックリと項垂れかけた。
「果糖君っ! おはようっ!!」
「… あっ、課長! おはようございます」
「おはようございます、じゃないよ。君に昨日、頼んでおいたでおいた議長と管理者挨拶文は出来てるんだろうね」
「ああ、アレはこれからしようと…」
「君に頼んだのは昨日の朝だよ。一日、何をしてたんだ」
「いえ、別に何もしてません…」
「何もしてませんって、しいくれないと困るじゃないか。議会事務局なんだから、ここはっ!!」
「はいっ!!」
「ったくっ! 君は返事だけ合格点なんだが…。頼んだよっ!!」
「はいっ!!」
その後、加糖がああ、こう出来たのかは定かでない。ただ、出来、不出来は加糖の人生に大して影響していないことだけは確かである。
加糖さん、ああして、こうして…はいいですから、ゆったりと楽しく生きて下さい。^
完