<62> 励(はげ)む
人生は否応なく励むことの連続である。励むことで人は人として生きられるのである。なぜ励むのか? は、小難しくて私には分からない。励まなくても生きられる人は例外だが、どうも人生ではないように私には思えます。^^
とある夏のクソ暑い最中、安岡はとある官庁で励む方法を研究していた。むろん、勤務中ではなく、チャイムが鳴り昼休みになった休憩時間に、である。
『どうせ励むなら、効率よく最善の方法で励もう…』
課長補佐の安岡は課長の豚尾にこれ以上、ブゥ~ブゥ~言われればB定食に変えようと決めていた。今日の日替わりB定食は言わずと知れたトンカツ定食である。だが、毎度毎度ブゥ~ブゥ~言われるのには、言われるだけの理由がある…と安岡は考えた。決して自分は仕事を怠けている訳ではない…と押す丘は思った。だとすれば、仕事に対する励み方に問題があるのではないか…と忌まわしい豚尾の顔を心に浮かべながらトンカツをガブリっ! とひと口、頬張った。そうだっ! AファイルとBファイルを突合すれば、どこが間違っているかが自然と分かるぞ…と、安岡は考えた。そして、その後がどうなったかについては、皆さんの御想像にお任せしたい。安岡が昇進の異動辞令を受け取ったことから分かるように思う。
まあ人生は、励み方を考えたとしても、必ず怒られなくなるという保証はありませんが…。^^
完




