<6> 異性
人生を過ごす上で、異性の存在は好むと好まざるとに関わらず関係する。どう対処するか? は人それぞれで違うが、異性に対して感情を昂らせない存在は神さまか仏さまに近いだろう。特に♂性は、あんなことやこんなことを考えやすいから始末に悪いのです。^^
とある区役所に勤める多辺は夜の道をテクテクと歩いていた。ジョギングとまではいかないものの、健康のため散策を兼ねて少し歩くことにしたのである。とはいえ、その散策は毎日ではなく気が向けば程度の軽いものだった。
その日もトップリと暮れかけた黄昏の夜の歩道を歩いていると、対向から一人の女性が歩いてくるではないか。多辺は懐中電灯を持って歩いていたから、一瞬で異性だと分かった。年の頃は二十代の何となく多辺好みの容姿に見えた。その姿が少しづつ大きくなる。擦れ違った瞬間、多辺の心にビリビリッ! と電流が走った。その女性に絆されたのである。完全にノックダウンしたポクサーに似ていた。すっかりその女性に虜になった多辺は、次の日から勤務に支障を来たすようになった。
「…どうされたんです、部長!」
書類を反対にして決裁印を押し間違え、人事課長の弥生は訝しげに訊ねた。
「いや、何でもない…」
口では暈した多辺だったが、脳裏に浮かぶのは昨夜、通り過ぎた女性の姿だけだった。その後、多辺さんがその女性にどう対処されたのか? は定かではない。^^
このように、異性は人生に大きな影響を与えるのです。恋の病は、お医者様でも治しゃせぬ・・なんですね。^^ 皆さんもご注意をっ!^^
完