<58> 骨折り損
骨折り損の草臥れ儲け・・という言い回しがあるが、骨折り損と分かっていても、人は一生懸命、黒蟻のように働いて人生を歩む。ひょっとすれば、ひょっとする…という一抹の夢を抱きながら働き続けるのである。ご苦労さんという他はない。まあ、年老いて現役を引退し、隠居する身分ともなれば、話は別になるのですが…。^^
とある町役場で働く次長の棘崎は一抹の可能性を信じて今日も頑張っていた。
『三役になるまでは…』
三役はとても無理だろう…と傍目から思えた棘崎だったが、それでもめげずに日々、降って湧いた難題に取り組んでいた。
「棘崎さん、久しぶりに、どうです…」
退庁時間を告げるチャイムが鳴り響いたときだった。年は棘崎よりやや下の部長、居原が棘崎のデスクに近づき、声をかけた。
「ああ、いいですな。ははは…こう暑いと冷えた生をジョッキでっ!」
「串カツをタレに浸けて頬張りながら…」
「いいですな…」
話は簡単に纏まり、二人は進行する難題を、ひとまず水入り[相撲用語]にすることにした。
人生を骨折り損にしないためには、ひと息つく間合いを取ることが重要なポイントになるようです。^^
完




