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<48> もし、あのとき…

 人生を生きていると、もし、あのとき…と()やむことがある。悔やんだとしても、過去の出来事はどうしようもなく、気分が落ち込むだけだ。だが一つだけ、その後の人生にプラスになることがある。それは、過去の悔やむ失敗を踏まえて、二度とそういう失敗をしないよう心の教訓に出来ることである。失敗しても、もし、あのとき…と自分を(かえり)みたり反省しない人は、この限りではありません。^^

 高林は真夏の熱気を避け、滾々と湧く山奥の湧水場で涼んでいた。数十年前の若い頃、この道を登った記憶が、ふと高林の心に甦った。

『あのときは確か、桃代さんと…』

 高林は登山する少し前、甘蜜桃代と婚約していた。婚約記念として登った禿鷹岳は、高林にとって悪い意味で想い出の山になっていた。それをふと、思い出さなくてもいいのに思い出してしまったのである。もし、あのとき…気づいていれば…と高林は悔やんだ。桃代はそのとき、すでに重い病に侵されていたのである。本人はそのことに気づいていなかったが、当然、高林も知る余地がなかった。下山して一週間後、突然、桃代は帰らぬ人となったのである。当時を思い出しながら高林は、人生の(はかな)さをしみじみと噛みしめるのだった。だが、もし、あのとき…と、当時の記憶を辿る高林に、容赦なく時は進んでいた。

『仕方がない…』

 高林は湧水を水筒に汲むと、ふたたび頂上を目指し登り始めた。

 もし、あのとき…と悔やむことのないよう、人生は慎重に生きた方がいいようです。^^


                   完

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