<43> 暑い日
まだ梅雨の真っただ中だというのに今年も暑い日が続こうとしている。毎年、少しづつ暑くなる…と感じるのは私だけだろうか。暑い日は四季がある我が国だからそれはそれで仕方がないのだろうが、暑過ぎるのも如何なものだろうか…などと汗を滲ませながら買物から帰宅したのだが、思わなくてもいいのに、暑い日だと思わざるを得ないのが辛いところです。^^
とある町役場の議会事務局に勤める課長補佐の粕川は身も心も茹だっていた。まるで、鍋の中でグダグダと中火で煮込まれたくらいに茹だっていた。暑い日だからそれはそれで仕方がないのだが、仕事に追われ心の方がヒートアップし過ぎたのである。身体は汗だくで心もオーバーヒートすれば、これはもうどうしようもなかった。
「…粕川君、議事次第書は?」
課長の酒田が飲み焼けた顔で視線を粕川に向けた。
「はあ、明日中にはなんとか…」
このクソ暑いのに…というイライラ気分で粕川は酒田に返した。空調システムが故障し、修理完了まで二日かかると業者が修理中だったのが粕川のイラつきに追い打ちをかけていた。
「どうだい! 今夜あたりビアホールで一杯ってのは!?」
「おっ! いいですねっ!」
一も二もなかった。渡りに舟とは、まさにこのことか…と粕川には思えた。酒田のひと言で、粕川の暑い日は急冷した。
暑い日には気分や身体を冷やす工夫をすれば、人生は快適に過ごせる訳です。^^
完




