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<35> 幻(まぼろし)

 人間五十年、下天の内を比ぶければ、夢、(まぼろし)のごとくなり・・と誰が言ったのかは知りませんが、人生を語る上で(まと)を得ているようには思えます。まあ、長く生きたとしても高々、百年ですし、一光年も生きられませんからね。^^

 今年で84才になる尾花は、考えなくてもいいのにしみじみと考えた。数十年、この町で時計、宝石、メガネ専門店を開業してきたが、寄る年波には勝てず、ついに閉店する決意をしたのである。ぅぅぅ…となる話だが、人はどのように人生を生きようと、かならず幻と消えていくのだ…と尾花には思えた。発想からして、これはもう枯れ尾花である。^^

「そろそろ暑くなってきたが…」

 尾花は考えるのをやめ、食い気に走ることにした。冷やし中華か冷やし蕎麦、いや、素麵を湯がいて氷水で冷やし、美味い出汁にアサツキの刻みなんかを浮かべ、ツルツルツル…っと啜るのも悪くはないか…と考えているうちに、尾花の陰気な考えは幻のように消え去った。

 人生は幻ですから、そう深刻に考えず、美味しく、楽しく過ごす方がいいようです。^^


                  完

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