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<29> 夢のまた夢

 ━ 露と落ち 露と消えにし 我が身かな 難波のことも 夢のまた夢 ━

 誰も知らない者がいないほどの超有名な、とある戦国武将の辞世の句である。人生の価値を真に考えさせられる和歌とも受け取れるが、♪出世するのも 人生だけどぉ~~♪ という人生の儚さを悟られ、作者は詠まれたのかも知れません。^^

 古藤は一代で巨万の富を蓄えた大手ホールディングスを取り仕切る超大物の会長だった。手に入れる物は金の力でほとんど手に入れることが出来た。だが、迫る老いには(あらが)えず、ついに自らの経営権を次期会長に委ねる日が明日に迫っていた。古藤に身寄りは誰もいなかった。

「旦那様、そろそろお食事を…」

 昔からいるただ一人の執事が遠慮気味に声をかけた。

「おお、そうかい。もうそんな時分か…」

 いつの間にかウトウトしていたのだろう。大窓のサッシに映る庭の夕焼けが奇麗だった。古藤は思った。私の人生は何だったんだろう…と。出世はしたが残したものは何もない夢のような人生だった。たまたま運が巡ってここまで来れたが、よくよく考えれば空虚な出世だったのか…と。

「露と落ち…か…」

 古藤は、とある超有名な戦国武将の気持が分かったような気がした。古藤が、とある超有名な戦国武将と一つ違うところは、古藤が歴史的に超有名ではなかったということである。^^

 古藤さん、それでも幸せな人生だと思えます。テンションを下げられなくてもいいですよ。^^


                  完

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