<28> 争いと和(なご)み
人生を取り巻く私達の世界は、絶えず争いと和みが交錯して繰り返されている。やっと和めた…と、喧嘩の後で相互の関係が修復してホッ! とひと息、吐いていると、また次の日には別の相手とのトラブルに巻き込まれる・・といった寸法だ。個人ならまだしも、国単位のグローバルな争いともなれば、なかなか修復は難しくなる。現在の世界情勢をお考え願えれば、よくお分かりになるに違いありません。^^
とある役所に勤める芥川は、考えなくてもいいのに、しみじみ考えていた。最近、趣味で書き始めた小説が、地方文学界の植木賞に特選で選ばれたのである。
「おめでとうございますっ!!」
無言で受け取ったトロフィーが実に嬉しい芥川だったが、日々、報道される世界の争いに、こんなことをしていていいのだろうか?… と、思わなくてもいいのにまた思ってしまったのである。よくよく考えれば、芥川がどうたらこうたら[どうのこうの]と思ったところで、どうなるものでもない。それでも芥川は、しみじみと思いを巡らせた。そして突然、閃かなくていいのに閃いたのである。
『そうだっ! 笑える小説を創作すれば、少しは世界が和むかもしれない…』
ド派手というか、何というか、芥川はねとにかくそんな考えに及んだのだった。そんな結論に達してから、瞬く間に月日が流れていった。だが、世界情勢は芥川の努力にもかかわらず、少しも良くなっていなかった。芥川はふたたび思った。
『まだまだ、創作の努力が足りないんだ…』
そして今日も、芥川は笑える、哂える、呵える、嗤える小説を書き続けている。
「芥川君っ! 疲れてるようだが、無理すんなよっ!」
「はいっ!!」
課長にそう慰められ、芥川は素直で快活な声を出した。
課長は芥川さんがアマチュア作家であることを知りません。疲れないように、芥川さん、頑張って下さい。^^
完




