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<20> 方向 [2]後ろ向き

 [1]の前向きの生き方があれば当然、後ろ向きの生き方もある。何事も一歩下がり、そのときの動静や雰囲気を察知し、隠れるように生きていくというダンゴムシさんのようにすぐ防御姿勢をとる人生の歩み方です。^^

 前話の町役場である。舘脇が前に配属されていた福祉課の中の一人の職員、鮭川(さけかわ)は、その日その日の勤めをビクビクしながら生きる心配性の男だった。

「鮭川さん、課長がお呼びです…」

 呼び出し専門の女子職員、釣糸(つりと)弾(びく)が鮭川のデスクへ近づいて静かに言った。

「えっ!! ああ、はい…」

 鮭川は自分が何か失敗をしでかしたのか…とビクついた。だが、呼ばれた以上は仕方がない。鮭川はテンションを下げながら課長席へと向かった。

「ははは…鮭川君、君もなかなかやるじゃないかっ! 町民の鱒尾さんがお礼を言っておられたぞ」

「はあ、そうでしたか…」

 鮭川には心当たりがなかったが一応、自分の話にした。事実は春の異動で生活環境課へ異動した熊尾の成果だったのだが…。^^

 自分のデスクへ戻った鮭川は、課長が褒めた話に心当たりがなかったから心が落ち着かなかった。何だったんだろう…と、それからの日々、褒められた一件が自分でないことがバレないかとビクビクしながら後ろ向きに暗く人生を歩んでいる。

 後ろ向きに生きる人は、このようにビクビクしながら暗く生きていくのですが、周囲に目立ちませんから人生が極端に悪くなるということことも少ないようです。^^


                  完

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