<2> 諦(あきら)めない
諦めないと落ちかけた人生が甦ることがある。もちろん、本人にその自覚がなければ難しいのだが、チャンスが来るのをジィ~~っと我慢して水を飲みながら耐え忍ぶように待つ・・というのも生き様の一つだ。待って待って、さらに待ち続けたという徳川家康公のような気分が必要なのです。ダメ元と考えれば気が楽でしょう。^^
いつもは平穏な河川敷は、長雨で今にも堤防が決壊しそうな濁流となり荒れに荒れていた。
「ひ、避難警報がで、出ましたっ!」
「そうか…これ以上はダメだなっ! 引き揚げよう!」
「はいっ!」
二人の警防員が川の様子を見回っていたが、降りしきる風雨でカッパはすでにビショ濡れになっていた。
「氾濫水域をすでに突破しております、どうぞっ!」
『諦めないで頑張って下さいっ! どうぞっ!』
「ど、どう、頑張るんですっ! どうしようもありませんっ!」
『諦めず、もう少しっ!』
的を得ない本部の対応に二人は無性に腹が立っていた。無線をプツッ! 切ると、警防員の上司は部下に大声を出した。
「おいっ! 引き上げるぞっ!!」
「はいっ!!」
二人が引き揚げた十分後、堤防は決壊し、濁流が辺りを飲み込んでいった。
諦めない心は必要ですが、人生、命あっての物種ですよね。^^
完