<15> ほどほど
晴れた日ばかりでは土に潤いがなくなり、農作物の育成は困る。それと同じように人生でもいいことづくめだと、あとの反動が大きくなり困ることになる。いい出来事と悪い出来事がほどほどに小さく繰り返されることで、そう良くもならないが悪くもならない人生の日々が続く訳です。^^
「ははは…お客さまぁ~、三日もあとになされば、よかこつでごじゃりましたがなぁ~」
宿の番頭に大きく呵われ、熊川がさらにテンションを落とすと、そこへいい情報が入った。
「ここん近くに、いい釣り堀がありよりますばい。そこで釣られりゃよかでっしょ!」
「ほう! そんな釣り堀が…」
「うちの町の経営ですけん、入場料は一日、ワンコインでよかですばい…」
「たった五百円で?」
「はいっ! そげん聞きよります」
そう話していると、急に晴れた空が曇り出し、晴れているのに雨が降り出した。
「狐の嫁入りですばい…」
「狸の嫁入りだと、どうなります?」
「ははは…面白いことを言わっしゃる。狸の嫁入りだと晴れているのに雹が降りよりますばい」
「ははは…狐さんだと水、狸さんだと氷が降りよりますか?」
「まあ、そげんこつでっしょ! ははは…」
「ははは…」
熊川は宿の番頭のいい情報のお蔭で、それほど悪くない一日を過ごすことが出来、二日後、テンションを上げて帰宅した。
このように、人生では良いこと悪いことがほどほどに小さく繰り返されることが、ほどほどに過ごせるようです。^^
完




