霧隠れの地
「だけど。本当に不思議な場所だな、声からして男だったよな」
「あぁ…男の声だった」
「てか、ここに人なんているのか?暮らせそうには見えないが」
「いただろさっき。違うのか?」
「なんか…人じゃなさそうな気配が影からしたから」
「……したか韋駄天?」
『確かに人間とは少し違った気配だったが…すぐに消えてしまったから確定的ではないがな』
「そうか、てか石段はどこまで続くんだよ。結構登った気がするんだが!」
「確かに…もう下も霧に包まれて見えない」
「はぁ。もう200段くらい登ってる気がするな、そろそろ終わってもいい頃合いだろ…」
「おい、あそこ。光ってないか?」
「ん?本当じゃん!あそこまで頑張って登るぞ咫村!」
「あいあい」
「よし、あと数段!…っしゃ!着いた!」
「はぁ…かなり段あったな。ざっと約百段ぐらいか?」
「でももう石段は見えないな。影が言ってた石段登り終えた先で待ってるって言ってたが、それがここならいるはずだが…」
「それよりも…これは社か?ずいぶん綺麗な見た目だな」
「普通にでかいな。賽銭箱もあるみたいだし…ん?なんか中にある」
「どれだ?」
「ほら、中に何か鎮座してある」
「見るからに縄で縛られて札貼ってあるんだが…。何か封じてるのか?」
「おう。来たか」
社の後からのっそりと出てきたのは2人の倍はある大きさの影だった
「っ!何者!」
「なんだ。さっき会っただろうが」
『この気配…ワレ。知っている気が…』
『ほう…』
「あの影か?」
「そうだ。にしてもお前ら……案外小さいんだな。それと…どうして神なんかがいるんだ?」
「はぁ?んだと!てか神さま見えるのか?」
「当たり前だろ。なんなら神のせいでこんな所にいる始末だ…」
「待て待て酪太。その話。詳しく聞きたい。それとお前の姿がよく見えない。見せてくれるか?」
「あぁ…この霧が邪魔だな。驚かねぇか?」
「…なぜ?」
「かなり怖い見た目してるからな」
「たぶん大丈夫だ」
「そうか。なら、霧を晴らす」
そう影が言い腕と思わしき部位を一振りするとさっきまであった濃い霧が嘘のように散ってゆく。それと同時に影の姿が明らかになる。それは…
「……!まじか」
「はは…こりゃどう解釈すればいいんだ?」
「ほう。驚かないのか、肝が据わってんなお前ら。少しだけ見直したぞ」
「………」
(夢ならかなり覚めてほしいんだが…)
(驚きは顔には出てないが。冷や汗が止まんないんだよ。こいつは…)
「おい。どうした」
((人間じゃない))
目の前にいたのは少しばかり金が混じった色鮮やかなで、いわゆる歌舞伎のような衣装を身に纏い鬼のような顔と角。身長はざっと3mはあると見えた
「お前。何者だよ…本当に…」
「俺?俺は土蜘蛛。知らないか?大妖怪としてかなり有名なんだが」
「土蜘蛛?」
「妖怪?」
「駄目だ…神さまとか妖怪いるなんてこの世界やばいな」
「キリッとしてなに言ってんだよ咫村」
『土蜘蛛よ。なぜお主はここにいる?』
「ん?おめぇは…なんの神だ?あ?」
『ワレは闇御津羽。なぜお主はここにいるのか答えてほしい』
「そんなの俺自身が知りてぇよ。なんたってあのクソ源頼光の野郎に倒されて気づいたらここだ。まぁあらかた見当はついてるがな」
「それはなんだ?」
「この社の中にあるアレ。それを護るために魂がここに連れてこられたんだと俺は思っている」
ついに妖怪まで出てきてしまった…まぁうん。妖怪いてもいいかなって。でもそんなに数はいない。ちなみに土蜘蛛の見た目は能の土蜘蛛っていう演芸の見た目が近いかも




