八章 リングリス都市とベラル自治区
同年、四月五日。
シャーロットが総帥制を導入すると宣言した。
ベラ・ジ・ルルは皇国という名前がついた総帥制国家に変わった。
同年、四月七日。
永世中立国のディールズ貴国がベラ・ジ・ルルに支援を行い始めた。
ベラ・ジ・ルルはディールズを始めとする多くの中立国に支えられて徐々に回復していく。
同年、四月二十日。
神軍上級組織員以上の組織員から紹介状を貰えば誰でもマッケリスに移住できるという規則が誕生した。
多くのベラ・ジ・ルル民がマッケリスへ移住するため組織員の買収などを試みるも、全て失敗に終わって逮捕された。
同年、五月十日。
商売繋がりで上位組織員と仲良くなったベラ・ジ・ルル民がマッケリスに移住した。
移住の成功が知られると、買収などを企んでいたベラ・ジ・ルル民が必死になって働くようになった。
神軍小規模拠点の清掃員や料理人になる人がとても多い。
同年、五月二十一日。
宗教団体が土地を購入してベラル自治区を作り始めた。
この宗教団体の裏に居るのは、シャーロットと旧ベラ・ジ・ルル政府の官僚たちだ。
「私たちはこの自治区を使って必ずや復権する。この自治区に住まう者たちが最も裕福な者になるだろう」
グラスを掲げたシャーロットは笑みながらそう言った。
「・・・」
旧ベラ・ジ・ルル政府の官僚たちは笑みながらグラスを掲げた。
千六百九十二年、二月七日。
マッケリスに移住するベラ・ジ・ルル民が増えると、マッケリスはベラ・ジ・ルルの首都と呼ばれるようになった。
しかし、それと同時に審査に落ちてマッケリスに行けない人が不満を言うようになった。
ここでベラル自治区で復権を企んでいたシャーロットがベラル自治区移住キャンペーンを開催した。
ベラル自治区移住キャンペーンは初日に数千人来て大成功だ。
「良いね良いね」
シャーロットはパソコンのモニターを見て笑みながら言った。
「やはり、正義は勝つのです」
旧ベラ・ジ・ルル政府の官僚1は笑みながらそう言った。
「一番良い建物です。マッケリスの建物よりも素晴らしいですよ」
受付は応募者を見て笑みながら言った。
同年、二月十日。
順調に進んでいる自治区移住キャンペーンの評判を見るため、シャーロットがラグジェパレス社が展開するインターネットを使い始めた。
しかし、インターネットに書かれている評判は最悪で、投稿されている動画も酷評の嵐だ。
「ど、どうして・・・」
シャーロットはそう言いながら動画を閲覧し始めた。
「見てくれよ、これがベラル自治区で一番良い建物だ」
建物と一緒に映る撮影者はカメラを見て笑みながら言った。
「風が吹くとガタガタ揺れるし、料理してるだけでうるさいって苦情が来た。よく停電も起こすし、受付はインターネットっていう言葉すら知らなかった」
屋内を映す撮影者はそう言った。
「これを聞いてくれ」
撮影者はそう言うと、床を踏んだ。
すると、ギシギシ音がなった。
「これで一ヶ月十三リズ。ヤバいだろ」
頭を抱える撮影者は自身を映しながらそう言った。
「・・・」
シャーロットは別の動画をクリックした。
「今日はマッケリスに住む友人を連れてきた。天翔商会の会長天翔 神葉だ」
天翔 神葉と共に映る撮影者はカメラを見ながらそう言った。
「天翔 神葉です。どうぞよろしく」
天翔 神葉はそう言うと、お辞儀した。
「これが例の一番良い建物だよ」
撮影者は建物を見て笑みながら言った。
「独創性がないね。これを設計した者は自分の仕事に対して誇りがないんだろうね」
神葉は建物を見てそう言った。
「質感はどうだい?」
撮影者は外壁を触りながら言った。
「良いとは思うよ。橘花や月浜でもこういう建物はある」
神葉は外壁に触れながら言った。
「マッケリスの建物との違いは?」
撮影者は神葉を見てそう言った。
「触り心地だけど、マッケリスの建物は何の引っ掛かりもなくすべすべしている」
「その他の違いは壁の厚さだね」
神葉は撮影者を見てそう言うと、ドアをノックするように外壁を叩いた。
すると、コンコンという音が聞こえた。
「こんな空洞があるような音はしない」
神葉は撮影者を見て笑みながら言った。
「なるほど」
撮影者はそう言うと、ドアをノックするように外壁を叩いた。
「ふざけるなよ・・・」
シャーロットはパソコンのモニターを見てそう言った。
「おい!!」
シャーロットは旧ベラ・ジ・ルル政府の官僚1を見て怒鳴った。
「はい!」
旧ベラ・ジ・ルル政府の官僚1は慌ててシャーロットを見た。
「こいつを何とかしろ!動画を消させろ!」
「・・・この建物の住民はもう居ません・・・マッケリス郊外に引っ越したそうです」
冷や汗をかいた旧ベラ・ジ・ルル政府の官僚はシャーロットを見てそう言った。
「はぁ・・・?」
シャーロットは驚きながらそう言った。
シャーロットは急いでマッケリス郊外と検索し、情報を見始めた。
ラグジェパレス社公認!世旅商会マッケリス郊外リングリス町移住大キャンペーン!
開発が始まったリングリスで面白い、ためになる、何気ない日常、そんな投稿を自由投稿室に投稿して自由投稿室を盛り上げよう!
スポンサー獲得でマッケリス移住紹介状の獲得も狙える大キャンペーン!
「な、なにこれ・・・」
シャーロットはパソコンのモニターを見て冷や汗を垂らしながら言った。
「これはどういうこと!?」
シャーロットは旧ベラ・ジ・ルル政府の官僚1を見てそう言った。
「私はインターネットなんて触ろうとも思ったことありませんので・・・」
旧ベラ・ジ・ルル政府の官僚1はシャーロットを見てそう言った。
「マッケリス郊外へ行く。どんな状況か調べる!!」
立ち上がったシャーロットはそう言いながら部屋から出た。
同年、二月十一日。
シャーロットがマッケリスに最も近い町、リングリスに到着した。
一年近く前は木々が生い茂っていた場所はマッケリスを囲うように都市化していて、地下鉄まで開通していた。
「・・・そんな・・・」
シャーロットは周りを見て唖然としながらそう言った。
リングリスを見て激怒したシャーロットは世旅商会に怒鳴り込んだ。
「どういうことよ!!インターネットを使って発展させるなんてインチキだ!!」
シャーロットは受付を見て怒鳴った。
「商売に使ってはいけないなんていう規約はありません。むしろ推奨されています」
受付はシャーロットを見てそう言った。
「商会の長を呼べ!!私がボコボコにしてやる!!」
「用がないなら帰ってくださいな。商売の邪魔」
「テメェ・・・!!」
シャーロットは震えながらそう言った。
「・・・」
受付は黙って周りを見た。
「・・・」
シャーロットが振り向くと、携帯端末を持った郊外の民が黙ってシャーロットに携帯端末を向けていた。
「な、な・・・!!」
冷や汗をかいたシャーロットは向けられた携帯端末を見て激しく動揺すると、逃げるように商会から出た。
「あれが皇女シャーロットの素顔か」
「良い動画になるんじゃないか?」
「流石に過激すぎる。スポンサーが離れたら紹介状も離れることになるんだ」
郊外の民たちは携帯端末の画面を見ながらそう言った。
「すごい時代だ・・・」
受付は郊外の民たちを見てそう言った。
(ダメだ・・・用なしって判断されたらまたあの時みたいになる・・・神軍に頼らないと・・・頼らないとどうにもできない・・・)
シャーロットは酷く落ち込みながら歩いた。
同年、三月十二日。
シャーロットから支援要請を受けて来た神軍支援部隊が旧ベラ・ジ・ルル政府の官僚たちとベラル自治区の民によって追い返され、ベラル自治区が神軍支援非対象地域に指定された。
シャーロットはベラル自治区から逃げ出して王都で生活を開始した。




