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七章 周りを見ない者は落ちる

正午十二時。

神軍マッケリス拠点に帰還した梨々香はリベードリヒと食事を始めた。

「今朝、ルルーシャがマッケリスの権利を買う契約を交わした」

箸を握ったリベードリヒはご飯を食べながら言った。

「・・・買う?」

少し固まった梨々香はリベードリヒを見てそう言った。

「百年、一千万の支払い」

「今のベラ・ジ・ルルにそんなお金ないだろうに・・・」

箸を握った梨々香はそばを持ち上げつゆにつけてそう言うと、そばを勢いよく啜った。

「特需景気を知らないか、マッケリスで稼げばどうにでもなるって考えか。どっちにしても君主として失格だ」

箸を握ったリベードリヒはそばを持ち上げてつゆにつけながらそう言った。

「これでベラ・ジ・ルルは手に入ったね」

箸を握ったリベードリヒは梨々香を見て笑みながら言った。

「・・・商売人と言うのは恐ろしいな。ちょっとした機を必ず掴んで我が物にする」

箸を握った梨々香は眉を顰め、リベードリヒを見てそう言った。


同年、四月六日。

順調に経済が伸びるベラ・ジ・ルルが小国に中立国の通貨をバラ撒いて小国を集め始めた。

「・・・六合様、よろしいのですか?」

櫛を持ったウェンディは新聞を読むリベードリヒを見てそう言った。

「ベラ・ジ・ルルにある大量の資材が中立国の間で売れているって言うことになってるから大丈夫」

リベードリヒは新聞を読みながら言った。

「そうではなく、神軍がベラ・ジ・ルルから物資を買うことです」

「梨々香もよく考えるよね。私が恐ろしい商人なら、梨々香は恐ろしい軍師だよ」

「・・・何を企んでいるんですか?」

「ベラ・ジ・ルルの自然崩壊」

リベードリヒは鏡に映るウェンディを見てそう言うと、再び新聞を読み始めた。

「今の時代、多額の借金がない小国なんてないからね。地位なし、価値ある金ありな国は良い客なんだよ」

リベードリヒは新聞を読みながら言った。

(なんてことを考えるんだ・・・あの神は・・・)

櫛を持ったウェンディは再びリベードリヒの髪を梳かし始めた。


同年、四月十八日。

マッケリスの開発が止まると、ベラ・ジ・ルルの経済が最高潮に達した。

小国を集めたベラ・ジ・ルルが大連合級の組織になると、シャーロットとベラ・ジ・ルル政府がチダリア共栄国などから戦姫を買って神軍をけん制し始めた。

「あの子たちは元気にしてるかい?」

梨々香はコーヒーを淹れながら言った。

「はい、カスミは上位組織員並みの能力があります。覚醒さえすれば私を遥かに越えるでしょう。ミッケは私のことがどうも嫌みたいで・・・」

リヴァは梨々香を見てそう言うと、差し出されたコーヒー入りのコーヒーカップを見た。

「そろそろ、奴も動くだろう。お互い、気を抜かないように」

梨々香はリヴァを見てそう言った。

「そうですね・・・」

リヴァはそう言うと、コーヒーカップを持ってコーヒーを飲んだ。

「陛下、彼女たちを比較的安全な極東に避難させるべきだと考えております」

リヴァはコーヒーカップを置いてそう言った。

「極東・・・橘花や月浜のことだね?」

「はい。剣星の称号を持つ剣士なら彼女たちを守ることができるはずです」

リヴァは梨々香を見てそう言った。

「わかった。伝えておこう」

梨々香はリヴァを見て笑みながら言った。

「それと・・・」

「どうした?」

「陛下、ベラ・ジ・ルルの連中を調子に乗せたままでいいのでしょうか」

リヴァは梨々香を見てそう言った。

「隠れぬ新芽は摘み食べられる」

「・・・」

リヴァは梨々香を見てハッとした。

「周りを見ない者は落ちる」

「どちらも燦水天狐族の商人がよく使う言葉だ」

梨々香はリヴァを見て笑みながらそう言った。

(この神は一体どこまで先が見えているんだ・・・?)

リヴァは梨々香を見つめた。


同年、四月二十日。

小国にベラ・ジ・ルル通貨を購入させて大きくなったベラ・ジ・ルル政府が反神軍を掲げ始め、権利を全て返すまで物資の値段を二倍にすると表明した。

「陛下、お久しゅうございます」

グラディス・オブ・イェーツは梨々香にお辞儀してそう言った。

「元気そうでよかった。東和海の様子はどうだい?」

梨々香はグラディスを見て笑みながら言った。

東和海(とうわかい)は神軍の連戦連勝。私の力を見た疑似神姫(ぎじしんき)たちは海から逃げ、陸で行動しております」

グラディスは梨々香を見てそう言った。

「そうか、天星(てんせい)への道は順調に開けているようだね」

「陛下、物資をベラ・ジ・ルルから購入し続けてよろしいのでしょうか。奴らは買えば買うほど図に乗ります」

グラディスは梨々香を見てそう言いながら拳に力を込めた。

「量を限りなく絞り、買ってください。時には黙って泳がせるということも大切ですよ。音を立てると魚は逃げてしまいます」

「・・・わかりました。購入を続けます」

グラディスは梨々香を見てそう言った。

「よろしく頼みましたよ」

梨々香がそう言うと、グラディスは梨々香にお辞儀した。


一方、開発地帯で作業準備を始める神軍の組織員たちは雑談をしていた。

「なんであいつらから物を買わなきゃいけねぇんだよ・・・」

「陛下は時々何考えてるかわからなくなるよな」

「でもほら、自由投稿室でラグジェパレス社が本社移転を発表してたじゃん?」

「西華国で結構な騒動になってたよな」

「それに、準敵対国にベラ・ジ・ルルが登録されてた!」

「よくチャックしてるね」

「準敵対国の通貨を持ってる国を客として受け入れないんだっけ?」

「そうそう!」

「結構エグイよね」

「こりゃ、ラグジェパレス社が一気に潰してくれるかもな!」

神軍の組織員たちはそう言いながら準備を進めた。


同年、五月七日。

マッケリスでひっそりと建築が行われていたラグジェパレス社の本社が完成した。

西華国にあったラグジェパレス社の本社がマッケリスに移動したと同時に神軍がベラ・ジ・ルルから物品を買わなくなった。

それに加え、ベラ・ジ・ルルリズを買った大陸中部の国々がラグジェパレス社から商品を買うためにベラ・ジ・ルルリズを一斉に放棄。

その結果、ベラ・ジ・ルルリズの価値が途轍もない勢いで下がり始めた。


同年、五月八日。

ラグジェパレス社の本社にシャーロットが来た。

シャーロットは酷く慌てている。

「お、お前!私を騙したな!?」

シャーロットはリベードリヒを見てそう言った。

「納得して契約書に名前を書いたのはあなたでしょう?」

リベードリヒはシャーロットを見てそう言った。

「ふざけるな!!お前がこの会社の社長だと知っていたら契約書に署名なんてしなかった!!」

シャーロットはリベードリヒを見て怒鳴った。

「小娘、私は九十九年契約を勧めたはずだ」

「・・・」

シャーロットはリベードリヒを見てあたふたした。

「欲をかいて百年契約にしたのはお前だろう?」

「わ、私は!私が間違えたんだ!本当は九十九年契約にしようと思っていた!」

シャーロットは慌ててそう言った。

「思っていた・・・だけでしょう?」

「・・・」

シャーロットは一気に冷や汗をかき、冷や汗を垂らし始めた。

「情報がどれだけ大切か、少し高い授業料になったね」

リベードリヒはシャーロットを見て笑みながら言った。

シャーロットは発狂しながら崩れ落ちた。


正午十二時五十分。

ベラ・ジ・ルル政府財務大臣が梨々香の所に来た。

「今日はどのような用件で?」

梨々香は財務大臣を見て笑みながら言った。

「あの・・・ですね・・・マッケリスの権利に関する支払いがほぼ困難でして」

財務大臣は梨々香を見てそう言った。

「なるほど。権利の譲渡ですね」

「いいえ!その・・・マッケリスの権利を全て返しますので、どうかベラ・ジ・ルルの権利だけは!」

「・・・はぁ・・・」

梨々香はため息をついた。

「全て納得した上で契約したのはあなたの国の君主でしょう?」

眉を顰めた梨々香は財務大臣を見てそう言った。

「そ、そこを何とか!私たちは何も知らなかったのです!」

財務大臣は頭を下げながら言った。

「自国のお金の動きを気にしないというのは、国家としてどうなのでしょう」

梨々香は呆れながら言った。

「それとも、元から支払う気がなかったのですか?そうなれば、こちらも優しい顔は出来ない」

梨々香は財務大臣を見てそう言った。

「・・・」

財務大臣は冷や汗を垂らしながら黙り込んだ。

「それに、これだけ経済が衰退して国が大丈夫だとは思えません」

梨々香はタブレット端末を見てそう言った。

小国が完全に離れ、神軍とも険悪な関係になったベラ・ジ・ルルの経済は神軍から支援を受ける前より下がり、百グラムのパン一つに千ベラ・ジ・ルルリズがかかるという状態になっている。

「・・・」

財務大臣は梨々香を見て黙り、うつむいた。

「この国を再び地獄に変えるつもりですか?」

梨々香は財務大臣を見てそう言った。

「・・・うぅ・・・ウゥゥゥゥ!!!!」

財務大臣は悲鳴を上げた。

「ッ!」

財務大臣は戻ってきたリベードリヒを見た。

「ラグジェパレス様!!どうか、権利だけはお願いします!!国民も不安で眠れぬ日々を過ごしておるのです!!」

土下座する財務大臣はリベードリヒを見て泣きながら言った。

「国民は結構喜んでいるけど」

歩みを進めるリベードリヒはそう言うと、椅子に座った。

「そんなはずはありません!!絶対にありません!!」

財務大臣は大声でそう言いながらリベードリヒの羽織に手を伸ばした。

「触るな!!」

怒筋を浮かべたリベードリヒは財務大臣を見て怒鳴った。

財務大臣は腰を抜かし、冷や汗を垂らしながらリベードリヒを見た。

「保身となるとすごい熱量だ。その熱量があれば飢餓も内戦も伝染病も止められただろうに・・・」

羽織の袖を一振りしたリベードリヒがそう言うと、財務大臣が大泣きし始めた。

「ベラ・ジ・ルルの今後を決めよう」

リベードリヒは梨々香を見てそう言った。

「そうだね」

梨々香はリベードリヒを見てそう言った。

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