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『芯を飲むプレスマン』

作者: 成城速記部

 そのプレスマンは、長い芯を一息に飲むのが得意でした。プレスマン専用芯は、四寸弱ほどもあるのですが、それを一気に飲んでしまうのです。あっという間に装填完了できる、なかなかに便利な特技です。ただし、二本同時には飲めません。それはプレスマンの宿命です。芯を二本飲んだプレスマンは、必ず詰まるのです。

 そういうようなわけで、そのプレスマンは、前の芯が終わるまで、次の芯を飲まないように気をつけていました。そのかわりに、前の芯が終わるやいなや、次の芯を一息に飲む、ということなのです。プレスマンの模範とも言うべき立派な心がけです。

 この日は、ちょうど、芯がなくなった日でした。そのプレスマン的には、早く次の芯を飲みたいところです。言ってみれば、おなかがすいたので早く食べたい、そんな気分でした。

 魚心あれば水心とでも申しましょうか。ちょうど目の前に、芯があるではありませんか。そのへんの安物の、二寸しかないものとは違います。そのプレスマンは、四尺弱を一息に飲み込みました。

 めでたしめでたし、では、この話は終わりませんでした。その夜から、そのプレスマンは苦しみ始めました。何か悪いものを食べたようです。プレスマンは、芯を少し出して、試し書きをしてみましたが、何も書けません。それどころか、原文帳が破れてしまいました。

 そのプレスマンが飲み込んだのは、同じ太さの針金でした。針金では、書けないのも道理です。



教訓:プレスマンたるもの、速記道具なのですから、もっと慎重であるべきです。


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